「でも、新しいもののほうが、性能もいいし省エネなんでしょう?」
「電気代がもったいないと思ったら替えりゃあいいんです。でも、設定温度とかこまめに掃除するとかで、充分省エネになりますよ」
「電器屋さんにそう言われると、なんだかほっとしますね」
「昇さんにはいい顔されませんがね。機械ってのは、丁寧に使えば長持ちするもんです」
「いい顔をされない?」
「そりゃあ、どんどん新しいものを売ればそれだけ儲かるわけですから」
「今どきの家電ってのは、昔みたいに修理をしながら使うより、新製品を買うほうが結局は得だって言うじゃないですか」
「ああ、メーカーはそう言いますよね」
「実際は違うと……?」
「違うとは言いません。でも、修理できないわけじゃない」
「でも、昔の機械とはずいぶん様子が違うんでしょう?」
「そりゃあそうですが、修理できない機械なんて基本的にありませんよ。例えば、そのエアコンです」
伊達は壁を指さす。「部品がなけりゃお手上げですが、基盤とかあれば取っ替えりゃいいんです」
阿岐本が日村を見て言った。
「今どきの電気製品ってのは、昔のとはずいぶん違うもんだって思っていたがなあ」
日村は言った。
「どんな製品もコンピュータが組み込まれているんで、素人にはお手上げだって聞きました」
伊達がうなずいた。
「そう。昔みたいに、ハンダでコードをくっつけてって訳にはいきません。まあ、パズルみたいなもんですかね」



