独創性あふれる日本ブランドがパリコレを彩る
2026年3月に開催された2026~27年秋冬パリコレクションには、日本から11ブランドが参加し、手仕事の温かみを感じさせるユニークなシルエットや、自然から着想を得た装いを提案するブランドが際立った。
ジュンヤ・ワタナベ:日常素材のパッチワーク
特に印象的だったのは、ジュンヤ・ワタナベだ。タンゴのリズムに乗せて披露されたのは、三角定規やスマートフォンケース、車のナンバープレートの一部などをパッチワークのように繋ぎ合わせた独創的なドレス。さらに、手袋や農業用ビニールシート、ぬいぐるみなど、通常は衣服に使用しない素材を組み合わせたエレガントなスタイルを提案した。デザイナーの渡辺淳弥氏は「既存の服作りの概念にとらわれず、純粋な創造衝動から生まれるフォルムを探求した」と語っている。
ノワール・ケイ・ニノミヤ:闇から咲く花
ノワール・ケイ・ニノミヤは「ダーク・ブルーミング」をテーマに掲げ、ブランドを象徴する黒の世界から花が咲き開くイメージを表現。鳥かごのような骨組みのドレスには、紐で作られた花の装飾が施された。ロシアによるウクライナ侵攻が続き、パリコレ開幕直前には米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃も始まった。デザイナーの二宮啓氏は「今の世界情勢を思い、明るくポジティブでエネルギーに満ちたものとして花をモチーフに選んだ」と説明した。
イッセイミヤケ:石から生まれた自然美
自然から着想を得たブランドとして、イッセイミヤケはデザイナーの近藤悟史氏が拾った石をコレクションの出発点とした。越前和紙を何層にも貼り合わせ、その上に漆を塗ったビスチェで一枚の布を固定したドレスなど、作り込みすぎず、素材に委ねることで生まれる新しい美を提案。近藤氏は「美しい石を見ていると、デザインしすぎない方がいいと思った」と語った。
マメ・クロゴウチ:故郷の自然を纏う
マメ・クロゴウチは、デザイナーの黒河内真衣子氏が故郷の長野県にある山のアトリエと東京を行き来する中で、目に留まった新緑のみずみずしさや濃霧の先に見える木々の深い陰影から着想を得た。深い緑色をジャケットやスカートの織り柄、ニットの編み柄で表現し、エレガントなマウンテンパーカも提案した。
CFCL:芸術と社会問題の融合
CFCLは、社会問題と芸術を結びつけた活動で知られるドイツの彫刻家ヨーゼフ・ボイスの作品から着想。樫の木の樹皮をモチーフにしたプリントのドレスなどを披露した。
これらのブランドは、既存の枠にとらわれない独創性と、自然や社会への深い洞察を反映したコレクションで、パリコレに新たな風を吹き込んだ。



