芥川賞作家の李琴峰(りことみ)さんが、自身のトランスジェンダーであることをSNS上でアウティング(暴露)されたとして、投稿者の滝本太郎弁護士(神奈川県弁護士会)に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(神吉康二裁判長)はプライバシー侵害を認定し、22万円の支払いを滝本氏に命じた。李さんが1日、記者会見を開いて明らかにした。
判決は5月27日付。李さんの代理人弁護士によると、アウティング被害を受けた性的マイノリティーに対する賠償が認められた初めての判決とみられる。
判決によると、滝本氏は2024年5月、X(旧ツイッター)で李さんについて、出生時に決められた性別と性自認が異なるトランスジェンダーであることを明かす趣旨の投稿をした。この投稿は約8千回閲覧され、2日後に滝本氏が削除した。
判決は、性に関わる情報は「個人の人格権や尊厳に関わる機微な情報だ」と指摘。投稿内容が真実かどうかにかかわらず「本人の同意なく明らかにすることは、プライバシーを侵害する違法な行為だ」と判断した。
李さんは2024年11月に提訴していた。今回の判決について、李さんは会見で「この判決が、アウティング被害に苦しむ多くの人々の勇気につながれば」と述べた。滝本氏側は控訴する方針を示している。
この判決は、性的マイノリティーのプライバシー保護において重要な前例となると期待される。専門家は「SNS上での不用意な情報公開が、個人の尊厳を傷つける行為として法的に責任を問われることを示した」と評価している。



