福島・喜多方の老舗「味処こまち」、ホルモン焼きの伝統を次代へ継承
喜多方の老舗「こまち」、ホルモン焼きの伝統を守る

福島・喜多方の老舗「味処こまち」、ホルモン焼きの伝統を次代へ継承

福島県喜多方市高郷町では、昔からホルモン焼きが地域の名物料理として親しまれてきました。しかし、人口減少や高齢化の影響で飲食店の閉店が相次ぎ、現在ホルモン焼きを提供する店はごくわずかとなっています。そんな中、「味処こまち」は昼夜問わず営業を続け、地域の伝統を絶やさないよう奮闘しています。店主の石田美香さん(39歳)は、「何としても地元の料理を守り抜かないといけない」と強い意気込みを語ります。

店舗継承と山岸さんの思い

店はJR荻野駅の目の前に位置し、赤いのれんが目を引く存在です。元々は前店主の山岸セイ子さん(85歳)と高齢の従業員の2人で切り盛りしていましたが、仕込みや鉄板の手入れなど負担が大きく、次第に少人数の予約制となり、営業時間も短縮されていました。

その頃、西会津町の道の駅にしあいづで飲食店を運営する「まんぷく亭本舗」が、町外への店舗拡大を計画していました。知り合いの紹介でこまちを知り、まんぷく亭本舗が店を引き継ぐことになりました。山岸さんは、「このままのこまちをお貸ししたい」と条件を提示し、店名や内装を変えずに継承することを要請しました。これを受け、昨年10月に石田さんが新店主となり、山岸さんも時折手伝いながら店を見守っています。

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山岸さんが店の姿にこだわる背景には、深い思い入れがあります。10年以上前、近所で発生した火災の火の粉がこまちの旧店舗に飛び火し、2階部分が延焼して一時営業ができなくなりました。途方に暮れていた時、亡くなった夫の静雄さんが「まだまだ頑張れ」と激励の意味を込めて建て直してくれたのが、現在の店舗です。こまちが古くから営業している割に建物が新しく見えるのは、このような事情があったからです。山岸さんは、「熱心な方々に店を継いでもらい、ほっとしている。地域の人たちも喜んでくれている」と感慨深げに話します。

人気メニューと地域への貢献

お薦めは名物の生ホルモンです。生の状態から一気に焼き上げるため、ホルモン特有の「ぐにゃり」とした食感はなく、独特の風味が楽しめます。店では客が自ら焼く定食と調理済みの2種類の定食を用意しており、サクラ馬力焼き定食や会津山塩ラーメン、喜多方ラーメンなど、会津の味も人気メニューとして親しまれています。

店は昼夜問わず地元住民や観光客でにぎわい、大型連休には「家族みんながそろうからどうしても店を開けてほしい」と頼まれ、定休日に営業したこともあります。まさに地域に必要不可欠な店としての役割を果たしています。

新たな挑戦とPR活動

石田さんが店主になってからは、インスタグラムを開設したり、近所に折り込みチラシを入れたりするなど、積極的なPR活動を展開しています。先月は平日夜限定でホルモン食べ放題セットを提供し、冬期間は早朝から除雪作業をする人が多く夜の客入りが少ない中、このセットのおかげで連日大盛況となりました。客からは「次は何の企画をやるのか」との声も寄せられ、好評を博しています。

常連客からは時折、「絶対に店をつぶすなよ」と熱い激励を受けることもあり、石田さんは「伝統を守りつつ新しいことにも挑戦したい」と決意を新たにしています。地域の姿は変わっても、こまちは変わらずのれんを掲げ続けていく方針です。

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店内の工夫と配慮

店内には約30人分の掘りごたつの席が横長に配置されており、地元消防団が宴会をしやすいように団員数に合わせて設計されています。これは地元を大切にする店の配慮の表れです。座敷席の窓を開けると、春には満開の桜とJR磐越西線を走るSLを同時に楽しむことができ、季節感あふれる空間を提供しています。

店舗情報

  • 住所:喜多方市高郷町上郷野際戊103の1
  • 電話:0241・44・2435もしくは080・9635・4894
  • 営業時間:午前11時~午後1時半、午後5時~同9時
  • 定休日:月、水曜日
  • 主なメニュー:生ホルモン定食(卓上焼き680円、調理済み提供780円)、サクラ馬力焼き定食(1080円)、サクラカルビ(800円)、会津山塩ラーメン(800円)、喜多方ラーメン(700円)