福島県富岡町で、復興の新たなシンボルが誕生した。JR富岡駅近くに昨年開所したワイン醸造所「とみおかワイナリー」が、初めて自前の醸造設備で仕込んだワインを完成させ、2月から瓶詰め作業が始まっている。念願の"富岡産ワイン"の初完成に、遠藤秀文社長は「良い出来栄えで、多くの方に味わってほしい」と太鼓判を押している。
原発事故後の挑戦から始まったブドウ栽培
このプロジェクトの始まりは、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う全町避難中の2016年にさかのぼる。遠藤社長ら有志がブドウ栽培を開始し、津波被害を受けた同駅東側にブドウ畑を拡大してきた。当初は富岡産ブドウを使用しながらも、町外の醸造所で仕込んでいたが、昨年秋ついに自前の醸造設備での仕込みを実現した。
生産規模の拡大と今後の展望
現在、スパークリングワインや白ワインの瓶詰めが進んでおり、昨年より2500本多い約1万本の出荷を見込んでいる。4月4日と5日に同町で開催される「夜の森桜まつり」の出展ブースでの発売が予定されており、地元産ワインのデビューに注目が集まっている。
遠藤社長は「4月からはふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)も始まる。ワインを通じて富岡町の復興を積極的に発信していきたい」と意気込みを語った。とみおかワイナリーは、単なる醸造所ではなく、震災と原発事故からの再生を象徴する存在として、地域の希望を担っている。



