山口県の魅力再発見からUターンへ 若者受け皿となるコミュニティ財団設立へ奔走
山口の魅力再発見からUターン 若者受け皿の財団設立へ (01.03.2026)

「何もない」と思っていた故郷の魅力に気づきUターンを決意

かつて「山口は何もない。つまらない」と考えていた藤井航平さん(30)が、帰省をきっかけに地元の魅力を再発見し、Uターンを決心した。現在、藤井さんは「やまぐち地域コミュニティ財団」設立準備会の代表として、社会課題の解決に取り組む人々と支援者を結びつける仕組みづくりに奔走している。

若者の流出に歯止めをかけるための受け皿づくり

少子化と若者の流出が進む山口県において、藤井さんは「帰ってくる山口をつくる」という信念を胸に活動を続けている。1月下旬に山口市内で開催されたキックオフイベントでは、約70人の子ども食堂関係者を前に、「皆様の活動を支えることが、地域の子どもや若者を大切にし、未来の山口をつくることにつながると信じている」と訴え、大きな拍手を集めた。

県内では子ども食堂の数が213カ所と中学校の数を上回るなど、民間組織による社会活動が広がりを見せている。しかし、近年の物価高騰により、持続的な運営が困難な状況が生じている。一方で、こうした活動を支援したいと考える企業や個人も存在することから、橋渡し役となるコミュニティ財団の設立が計画された。

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高校時代の思い込みから転換した価値観

藤井さんは山口高校卒業後、浜松市の公立大学に進学。国際協力に関心を持ち、バングラデシュでの支援活動に取り組む教授のゼミに参加した。大学在学中には、外国籍児童への学習支援などにも携わり、卒業後はNPO支援組織でボランティア講座やネットワーク構築を担当した。

「山口は何もない」という高校時代の思い込みは、浜松でのボランティア経験を通じて変化していった。中山間地域で活動する中で、都会からの訪問者が「空気がおいしい」と喜び、地元住民が何気ない日常を楽しそうに語る姿に触れ、「何もないように見える山口にも、何かいいところがあるのではないか」と考えるようになった。

帰省時の気づきがUターンへの道を開く

帰省時に実家近くを歩き回る中で、高校時代には気づけなかった街の魅力を感じた。特に、山口市の中心商店街にある市民活動支援センター「さぽらんて」での出会いが転機となった。運営するNPO法人の児玉頼幸代表(65)から「帰ってこんね」と声を掛けられ、Uターンを決意した。

2022年春に児玉代表のNPO法人に加わった藤井さんは、萩市の子ども支援施設「Waku〈2〉BASE(わくわくベース)」の設立準備から関わり、開所以来は学習支援や相談対応、食事提供などに取り組んでいる。

4月中旬の発足を目指すコミュニティ財団

「やまぐち地域コミュニティ財団」は4月中旬の発足を目標に、2月から県内各地で説明会を開催。クラウドファンディングを通じて設立に必要な300万円を3月末まで募っている。発足後は藤井さんが代表を務める予定で、「みんなで支える仕組みをしっかり作らないと、地方が衰退する。受け皿になりたい」と語る。

藤井さんは「民間組織に伴走しながら支援し、自走化できるようにしていきたい」と展望を描いている。認定ファンドレイザーの資格を持つ専門職として、地域の社会活動を持続可能なものにするための基盤づくりに尽力する姿勢が窺える。

休日にはJAの直売所を巡って野菜を買い求め、料理を楽しむという藤井さん。地元への愛着と、若い世代が帰ってきたくなる山口県づくりへの熱意が、今後の活動を支えている。

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