路面電車が都市再生の鍵に 広島駅ビル乗り入れとLRT成功で注目高まる
路面電車が都市再生の鍵 広島駅ビル乗り入れとLRT成功

路面電車が都市再生の鍵に 広島駅ビル乗り入れとLRT成功で注目高まる

路面電車が、少子高齢化や環境意識の高まりを背景に、コンパクトなまちづくりの装置として再評価されている。かつてマイカーの普及で衰退したが、近年では新線開通や駅ビルへの乗り入れが相次ぎ、都市開発の核として注目を集めている。

広島駅ビルへの乗り入れで利便性向上

広島駅では、昨年8月に開業した新線「駅前大橋ルート」により、路面電車がJR広島駅の駅ビル2階に直接乗り入れるようになった。これは全国でも唯一の事例で、高齢者を中心に利用者の利便性が大幅に向上した。従来の停留場は1階の広場にあり、通勤時間帯の混雑でダイヤの遅延が頻発していたが、新線開通後は市中心部への所要時間が4分短縮し、乗降者数も2割増加した。

広島市と広島電鉄、JR西日本は2014年に高架新線の開業に合意し、老朽化した駅ビルを建て替えて路面電車の乗り入れを可能にした。さらに、乗り場を2か所から4か所に増やし、乗り換えの円滑化を図っている。市は広島駅周辺と紙屋町・八丁堀地区を核にした「楕円形の都心づくり」を掲げ、路面電車を活用したコンパクトシティー構想を推進中だ。

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栃木のLRT成功で住民幸福度が高まる

路面電車の再評価に拍車をかけたのが、2023年8月に栃木県で開業した「ライトライン」だ。これは国内で75年ぶりの新規開業となるLRT(次世代型路面電車)で、自動車が入れない専用軌道を走行し、遅れが少ないのが特徴。車両の床が低く、車いすやベビーカーも簡単に乗降できるなど、環境と人に優しい設計となっている。

開業初年度から黒字を達成し、2025年8月には想定より6か月早く累計利用者1000万人を突破。沿線ではマンション開発が進み、人口が1割増加するなど、地域活性化に貢献している。専門家は「住民の幸福度が高まり、持続可能な都市づくりにつながる」と評価する。

LRT導入の課題と可能性

LRTの導入には、数百億円規模の費用が障壁となる。例えば、岡山県ではJR吉備線のLRT化計画が財政難で中断した一方、富山県では既存の駅舎や線路を活用し、初期投資を58億円に抑えた成功事例もある。運輸総合研究所の金山洋一主席研究員は「海外では人口15万人程度の都市でもLRTが機能しており、日本でも多くの都市で持続可能な開発が可能だ」と指摘する。

海外では、欧米を中心に210以上の都市でLRTが新設され、トランジットモールの整備などで商店街の活性化や安全性向上が図られている。関西大学の宇都宮浄人教授は「LRT単体の収益性だけでなく、街全体の税収増や地価上昇につながる仕組みが重要だ」と述べている。

今後、岐阜県や京都市などでもLRT導入の検討が進んでおり、路面電車を軸にした都市開発の動きは全国に広がりを見せている。

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