ニュータウン再生の新たな拠点、多世代交流施設が兵庫県三木市で完成
全国的にニュータウンの再生が喫緊の課題となる中、兵庫県三木市が先駆的な取り組みを進めています。同市の住宅団地「緑が丘・青山ネオポリス」において、地域での「継続居住」を促進する多世代交流施設「HITOTOKIMIKI(ひとときみき)」が完成しました。一部の入居テナントの整備を終え、2026年5月にオープンを予定しており、団地再生に向けた具体的な動きが本格化しています。
高度成長期のベッドタウンが直面する課題
神戸市に隣接する三木市は、高度成長期にベッドタウンとして発展を遂げました。中核となる緑が丘・青山ネオポリスは、1971年から入居が始まり、総面積307ヘクタール、5450区画を有する大規模な住宅団地です。しかし、子ども世代の流出により、2004年には1万6000人を超えていた住人数は、昨年9月時点で約1万4000人に減少。高齢化率も40%に近づき、人口減少や空き家の増加が深刻な問題となっています。
官民連携による再生プロジェクトの始動
こうした課題に対処するため、三木市は団地を開発した大和ハウス工業(大阪市)と2020年に連携協定を締結。まちの魅力向上を図る目玉策として、多世代交流施設の建設が進められてきました。公募型プロポーザルにより同社が建設を請け負ったこの施設は、木造平屋で延べ約2000平方メートル。住民が「住み続けたい」と思える環境づくりを目指し、気軽に集い、活動できる多様な機能を盛り込んでいます。
施設の特徴と期待される効果
新施設には、以下のような特徴的なスペースが設けられています。
- コワーキングスペース:新たな働き方を生み出し、在宅勤務や起業を支援します。
- チャレンジショップ:住民や若者が飲食店などを起業する際に活用できる実験的な店舗スペースです。
- プレイパーク:子を持つ親が子どもを遊ばせながら、子育ての悩みを解消できる場を提供。
- スマート窓口:行政職員を置かずに住民サービスを効率化します。
- フリースペースと会議室:地域活動や交流の場として柔軟に利用可能。
- ドッグラン:屋外に設置され、ペットと一緒に訪れる住民のニーズに対応。
また、住民と行政をつなぐ組織として、一般社団法人「みらまち緑が丘・青山推進機構」が昨年6月に設立され、全国で初めて団地再生に関する地域再生推進法人に認定されました。これにより、官民連携に加え、住民参加型の再生プロジェクトがさらに推進される見込みです。
「人」を中心としたまちづくりへの期待
団地再生プロジェクトを担当する三木市の清水暁彦縁結び課主幹は、「まちの再生で一番大事なのは『人』だ」と強調します。長年培ったキャリアと技術を還元できる場が必要であり、チャレンジショップはその一例です。「飲食業を始めたいと考える住民がここで実際にやってみて、店を始める。出店のハードルも下がり、知った人の店なら住民も安心だろう」と語ります。
さらに、子ども世代がまちを出た後、夫婦2人や単身者には広過ぎる家の住み替えをスムーズにする仕組みがあれば、多世代交流施設を「街のリビングルーム」のような感覚で利用してもらえると期待を寄せています。この取り組みが、高齢化や人口減少に悩む他のニュータウンにも良いモデルケースとなることが期待されます。



