宇都宮市中央卸売市場に新エリア 一般消費者向け「賑わいエリア」が開業
宇都宮市中央卸売市場に、一般消費者向けの店舗を集めた「賑わいエリア」が20日、オープンする。地産地消による「食のランドマーク」を掲げており、これまで卸売業者など市場関係者しか立ち入ることができなかった市場に、より多くの市民が親しみを持って訪れることを目指している。しかし、テナントには食とは直接関係のない店舗も多く含まれており、本来の趣旨から外れているのではないかという指摘も上がっている。
地産地消を軸にした食の拠点を目指す
賑わいエリアは市場東側の約2万7000平方メートルに設けられ、一般消費者向けの青果や鮮魚の専門店、スーパーなど20店舗が順次開店する予定だ。市は年間5000万円の借地料を得る見込みである。新エリアでは、地元で採れた新鮮な野菜などを販売するほか、市場で直接仕入れた商品を使った飲食物を提供し、食や市場の存在価値を再認識してもらうことが狙いとされている。
佐藤栄一市長は「市場にこれだけ新鮮で安全・安心な食品があることを市民に知ってもらいたい」と語り、地域の食文化を支える拠点としての役割を強調している。
市場の長期低迷が背景に
市が新エリアの開業に踏み切った背景には、市場の長期低迷が大きく影響している。市場は1975年6月に開場し、県内外の青果物や水産物を扱ってきたが、市場を通さない大手流通の台頭により、取扱量は減少傾向が続いている。
具体的には、水産物の取扱量はピーク時の1987年度に5万6000トンあったが、2024年度には4600トンにまで低下。青果物も1987年度の22万2000トンから、2024年度には7万7000トンまで減少している。市は市場を「食料を市民に安定供給する上で欠かせない」と位置づけており、施設の老朽化も進んでいることから、新エリアを含めた再整備を進めてきた経緯がある。
テナントの埋まり具合や業種に課題
一方で、新エリアには課題も残されている。市によると、30区画のうち10区画はいまだに空きが目立っており、資材価格や内装工事費の高騰を理由に出店を辞退した店舗もあったという。入居する店舗には、美容室やドラッグストアなど食とは関係のない業種も含まれており、地産地消を通じた食のランドマークというコンセプトからは、かけ離れた印象を与えかねない状況だ。
市議からは「コンセプトに対して、店舗構成が不十分ではないか」との指摘も上がっている。佐藤市長は新エリアについて、「まずは市場の中に入ってもらう『第一歩』」と理解を求めつつ、空き区画についての誘致も引き続き進めていくとしている。
宇都宮市中央卸売市場の賑わいエリアは、地域経済の活性化と食文化の振興を目指す試みとして注目されるが、その成功にはテナントの充実やコンセプトの明確化が鍵となりそうだ。



