川口市の障害者施設「生活介護きじばと」が廃止、移行先確保できぬ3人は半年間継続へ
埼玉県川口市の障害者施設「生活介護きじばと」が、2026年3月31日をもって廃止されることが決定した。市は30日、移行先を確保できていない利用者3人については、廃止後も半年間、継続して通えるよう対応する一方、他の利用者については受け入れない方針を家族らに伝えた。この決定に対し、家族からは「ショック」や「頭が真っ白」といった落胆の声が上がっている。
廃止決定の背景と家族の要望
生活介護きじばとは、重度の知的障害者ら20人以上が通う施設で、昨年6月の市議会において、奥ノ木信夫前市長が本年度いっぱいでの廃止に向けた条例案を提出。自民党と公明党の市議団が賛成し、条例が成立した。これに対し、利用者側は1年足らずでの移行は困難であると主張し、環境の変化によるストレスを避けるため、家族有志の会が指定管理者を務める市社会福祉事業団の自主運営による継続、または事業団が運営する別施設へのまとまった移行を要望してきた。
しかし、市は30日、これらの要望に応えられないと回答。移行先が決まっていない利用者が在宅介護になるのを防ぐため、事業団が自主運営する別施設の一部として「きじばと」を半年間使用し、その間に別施設への移行を支援すると説明した。運営費の補助については、今後補正予算で対応する方針だという。
家族の失望と署名活動
廃止後に行き場を失うことを恐れた家族の多くは、4月から受け入れ可能な施設との契約に踏み切った。そのうち12人は今月下旬、岡村ゆり子市長に「意志表明書」を提出し、事業団の自主運営などが実現すれば戻りたいと訴えていた。こうした家族の思いを後押ししようと、今月11日に始まった署名活動は2週間余りで全国から約2400筆が集まり、岡村市長に提出された。
ある母親は「これだけ支援の声が寄せられ、来月からもきじばとに通えるという報告を聞けると思ってきたのに…(決定を)受け入れられるわけがない」と憤りを露わにした。別施設への通所を始めた利用者の母親も「きじばとが自主運営で続くなら、戻るつもりだった。ショック」と呆然とした様子で語った。
今後の展望と課題
市の対応により、移行先のない3人は当面の間、施設を利用できる見込みだが、他の利用者は新たな環境への適応を迫られることになる。この問題は、障害者福祉における施設廃止と移行支援の難しさを浮き彫りにしており、地域社会の関心を集めている。家族らは今後も継続的な支援を求めていく方針で、市との協議が続けられる見通しだ。



