佐世保市の「白ポスト」が今月末で閉鎖 有害図書回収の役割に幕
青少年育成に悪影響を及ぼす可能性がある雑誌やDVDなどを回収する「白ポスト」が、長崎県佐世保市で今月末に閉鎖される。同市では利用の低下が続き、役割を終えることになった。閉鎖に先立ち、白ポストを研究する研究者が現地を視察し、その経緯を確認した。
利用減少と管理負担が閉鎖の背景に
佐世保市に設置されている白ポストには、すでに「閉鎖のお知らせ」が貼られている。東京経済大学の大尾侑子准教授(社会学・メディア史)が2日に視察した際には、有害図書が数冊入っていたものの、週刊誌やチラシなど関係のないものも捨てられていた。大尾准教授は、「公園やコミュニティーセンターといった目立つ場所に設置されていたが、回収数の低下から、一部の利用者が継続的に投函していた可能性が高い」と推測している。
長崎県こども未来課などによると、県内に白ポストが初めて導入されたのは1964年で、長崎市と佐世保市にそれぞれ5か所ずつ設置された。現在は18市町の計69か所に設置されており、露骨な性表現や過剰な暴力シーンがある雑誌や写真集、DVDなどの「有害図書類」を回収。河川敷や公園などに捨てられ、子どもたちの目に触れるのを防ぐ目的があった。
回収数が減少し、たばこの吸い殻も問題に
しかし、近年は回収数が減少傾向にあり、たばこの吸い殻が捨てられるなど、本来の目的から外れた利用も見られた。佐世保市青少年教育センターが管理・回収を担当しており、市内16か所に設置されていた。2022年度までは年間5000~7000点を回収していたが、ここ数年は数が減り、2024年度は3600点となっていた。県内の回収数の約半数は佐世保市が占めていた。
担当する谷岡明代所長補佐は、「回収数の減少や、市が公費を用いて回収・処分を続ける必要性について疑問の声もあり、閉鎖を決断した」と説明。3か月ほど前から閉鎖を告知しているが、市民からの苦情はないという。今月末にポストの中身を回収した後、投函口を封鎖し、順次撤去する予定だ。
県内で撤去の流れが広がる
長崎市は2024年度に白ポストを閉鎖しており、撤去の動きは県内で広がっている。県こども未来課の担当者は、「他の自治体からも撤去の要望が上がっており、今後も白ポストは減少していく可能性が高い」と話す。これにより、かつての青少年健全育成のシンボルが次第に姿を消すことになる。
インターネット時代の新たな対策を提言
大尾准教授は、「白ポストは青少年健全育成のシンボルとして役割を果たしてきたが、インターネットに成人向けコンテンツが氾濫する現在、有害図書の回収だけでは効果が限定的だ」と指摘。その上で、「インターネット上にあふれる有害情報を見極めるため、子どもと大人がともにメディア・リテラシーを高める必要がある」と強調している。この提言は、デジタル時代における青少年保護の新たな課題を浮き彫りにしている。



