福島の小さな酒屋「きしなみ酒店」、約百年の歴史に幕を閉じる
福島市天神町にある「小さな酒屋 きしなみ酒店」は、2024年1月30日、約百年にわたる営業の歴史に終止符を打ちました。店主の岸波加代子さんは、閉店の日を迎え、「やり切った。楽しい酒屋人生だった」と笑顔で振り返り、長年にわたる店舗経営に区切りをつけました。
三代にわたる家族経営と酒へのこだわり
この酒店は、岸波さんの夫である康章さんの祖父が創業し、約40年前に三代目として加代子さんが継承しました。店では、日本酒を中心に取り扱い、福島県産の酒はもちろん、山形県や長野県など県外の小さな酒蔵から厳選した逸品を仕入れていました。販売方法は店頭販売のほか、配達サービスやホテルとの取引も行い、地域に根ざした酒屋として親しまれてきました。
コロナ禍や猛暑、物価高が重なり苦しい経営状態に
しかし、新型コロナウイルス禍の影響で取引が激減したことや、昨夏の猛暑、物価高騰が重なり、経営は厳しい状況が続きました。加代子さんは、今後の展望や自身と夫の体力を考慮し、閉店を決断したと語っています。この決断は、長年の努力と情熱を注いだ末のものであり、地域の酒文化を支えてきた歴史に一つの章を閉じる形となりました。
最終日には酒の勉強会メンバーが駆け付け、ねぎらいの言葉
閉店の最終日には、同店が主催する酒の勉強会「酒味酒楽」のメンバーが駆け付け、閉店を見届けました。同会の尾形美恵子さんは、「残念だけど、大変な中でもここまで頑張ってくれて立派。ゆっくりしてほしい」と加代子さんをねぎらい、長年の活動に敬意を表しました。この勉強会は、酒を通じて地域のつながりを深める場として機能し、閉店後も活動を継続する予定です。
閉店後も縁を大切にし、新しい挑戦を模索
加代子さんは、閉店後も「この店でつながった縁を大事にしたい」と話し、酒の勉強会の活動を続けながら、店舗での新しい挑戦も考えていると明かしました。約百年の歴史を刻んだ「きしなみ酒店」の閉店は、地域の酒文化の一時代の終わりを告げる一方で、新たなつながりや可能性への期待も感じさせます。
この閉店は、福島市の小さな酒屋の歴史を振り返る機会となり、加代子さんの「やり切った」という言葉が、長年の努力と達成感を象徴しています。地域の人々との絆を大切にし、酒を通じた交流が今後も続くことを願う声が聞かれます。



