姫路城の入城料「二重価格」導入で入城者数減少、市民以外は2.5倍の2500円に
姫路城「二重価格」導入で入城者数減少、市民以外2.5倍 (05.03.2026)

姫路城の「二重価格」導入で入城者数が減少、市民以外は2.5倍の2500円に

世界遺産・姫路城(兵庫県姫路市)で3月1日、18歳以上の入城料が改定され、市民以外の料金が1000円から2500円へと大幅に値上げされた。一方、市民の入城料は1000円のまま据え置かれた。この「二重価格」制度の導入後、最初の4日間(3月1日~4日)の入城者は計約8600人となり、前年同期と比べて約1600人減少したことが明らかになった。

現存12城で最高額の入城料、市民との差は2.5倍

2500円という入城料は、天守が現存する国内12城の中で最高額であり、2番目に高い松本城(長野県松本市)の約2倍に相当する。市民は入城時に窓口でマイナンバーカードなどの身分証を提示することで、市民向けの1000円が適用される。また、これまで300円だった小中高校生の入城料は、市民以外も含めて無料となった。

市民と市民以外で二重価格を設定するケースは近年、全国で相次いでいるが、多くの施設では差額は数百円程度に収まっている。例えば、札幌市の観光名所「さっぽろテレビ塔」では今年1月、展望台の高校生以上の入場料を200円引き上げて1200円とした一方、市民は800円に値下げした。鹿児島市も昨年10月、「かごしま水族館」など14施設について、市外からの利用者の一般料金を市民より100~500円高く設定している。

維持管理費確保が背景、市は「本当に見たい人は来てくれる」

姫路市が思い切った料金設定をした背景には、江戸時代初期に大天守が完成した姫路城は多額の維持管理費がかかるという事情がある。市の試算では、補修や石垣の耐震化のために、2025年度から10年間で280億円が必要とされている。市は入城者数の減少を織り込んだ上で幅広い金額を検討し、2500円が市の収入を最大化できると判断したという。

市の担当者は「維持管理に必要な収入を確保することを考えた。本当に城を見たい人は、料金が2.5倍に上がっても来てくれるはず」と話す。当初は外国人観光客を対象にした値上げも検討したが、「外国人差別だ」などの批判が相次いだため、市民と市民以外で分ける方法を採用した。差額を設ける理由として、「市民は税金を負担し、城の保存・継承に貢献している」と説明している。

周辺店舗は影響を懸念、専門家からは逆効果の指摘も

城周辺の飲食店では、値上げで客足への影響を懸念する声が聞かれた。姫路城大手門近くで60年以上喫茶店を経営する女性(83)は「お城があって、我々の経営が成り立つ。大幅な値上げがどう影響するのかわからず心配だ」と漏らした。

専門家からは慎重な見方も示されている。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さん(47)は「維持管理に苦労する施設は多く、こうした二重価格は広がっていくだろう。ただ、市民と市民以外で2.5倍もの差を付けたことはどこまで理解を得られるかわからず、市は今後、入城者数がどうなるか検証していく必要がある」と指摘した。

コラムニストの小原ブラスさん(33)は「『二重価格』と言うと誤解や反発を招きかねないので、『住民割引』という趣旨を丁寧に説明することが大切だと思う」と語った。

観光政策の専門家は「差がありすぎる」と指摘

佐滝剛弘・城西国際大教授(観光政策)は「姫路城の価格差は少し差がありすぎるように感じる。市外の人も姫路城に来訪したついでに食事や買い物でお金を落として地域を潤している面を考慮に入れるべきではないか。大幅な値上げで日本人観光客が減り、期待するほど文化財を守るための収入が得られず、逆効果になる可能性もある」と述べ、地域経済への影響を考慮した政策の必要性を強調した。

この二重価格制度が今後、他の観光施設にも広がるかどうか、注目が集まっている。姫路市は入城者数の動向を注視しながら、維持管理費の確保と観光客の誘致のバランスを模索していくことになりそうだ。