つぶあんVSこしあん、世代で分かれる好み 桜餅の定番はどっち?
つぶあんVSこしあん、世代で好み分かれる 桜餅は? (13.03.2026)

つぶあんとこしあん、世代で好みが分かれる「あんこ論争」

春の訪れを告げる桜餅や柏餅が店頭に並ぶ季節になると、和菓子ファンの間で長年議論されるのが「つぶあんがいいか、こしあんがいいか」という問題です。そもそも、つぶあんとこしあんにはどのような違いがあるのでしょうか。あんこをこよなく愛する「日本あんこ協会」のにしいあんこ会長に、奥深いあんこの世界について詳しく聞きました。

若者はこしあん、高齢者はつぶあんを好む傾向

LINEヤフー(本社・東京)のスマートフォン専用リサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」が2024年7月に実施した調査では、全国の10~60代の男女を対象に、つぶあんとこしあんのどちらが好きかを尋ねました。その結果、つぶあん派が49%、こしあん派が44%で、僅差でつぶあん派が多いことが明らかになりました。

年代別に見ると、10代と20代ではこしあん派がどちらも60%を占め、つぶあん派は10代で30%、20代で32%にとどまっています。こしあんの滑らかな舌触りが洋菓子の食感に近いことが、若い世代に好まれているようです。一方、つぶあん派は年代が上がるにつれて増加し、60代では71%に上ります。

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にしいさんによると、同協会が開催したイベントで実施した「あんケート」調査でも同様の結果が出たそうです。「こしあんが好きなのは若い世代で、年齢とともに、つぶあんが好きになる傾向があります。中には、『こしあんしか食べられなかったけれど、この年になって、つぶあんに目覚めました』という人もいました。つぶあんからこしあんに好みが変わった人には出会ったことがありません」と、にしいさんは語ります。

あんこの歴史と種類の違い

本来、「餡」とは食材を煮詰めて練ったペースト状のもの全般を指します。日本では飛鳥時代(西暦592年~710年ごろ)には既に、饅頭などの中に肉や野菜を詰めた食べ物がありました。しかし、いつごろから「餡と言えば小豆あん」になったのかは分かっていません。一説には、肉食が許されなかった禅僧が「食感が肉っぽい」という理由で、小豆を餡に代用したのが始まりと言われています。

鎌倉・室町時代に砂糖が輸入されるようになり、小豆を使った「甘いあんこ」が登場しました。庶民の口に入るようになったのは江戸時代からで、第8代将軍・徳川吉宗が砂糖の国産化を成し遂げ、国民に甘いあんこをもたらしました。

小豆を主体とした甘いあんこには、主に製造方法の違いにより様々な種類があります。

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  • つぶあん:小豆をつぶさないように炊いたあんこ。小豆そのもののうまみとえぐみ、独特の風味が凝縮されています。皮を破らずに炊き上げるには熟練の技が必要と言われています。
  • こしあん:小豆を炊いた後に、裏ごしして外皮を取り除き、水でさらしてアクを捨て、砂糖を加えて練り上げたあんこ。しっとりした滑らかな口当たりが特徴です。
  • つぶしあん:つぶあんの粒をあえて潰して炊き上げたあんこ。外皮が残ることで、こしあんより小豆の味がしっかりと感じられます。
  • 小倉あん:大納言など大粒な品種の小豆を蜜煮で甘くして、こしあんに混ぜて作ったあんこ。発祥の地とされる京都の小倉山が名前の由来です。
  • 皮むきあん:あらかじめ小豆の皮を精米機などで剥いてから炊くあんこ。こしあんよりさらに皮の部分が少ないため、色が淡く、あっさりした風味になります。

あんこは小豆で作るのが一般的ですが、白いんげん豆(大手亡豆)や白小豆で作った「白あん」、青えんどう豆(うぐいす豆)を使った「うぐいすあん」、枝豆をペーストにした「ずんだあん」などもあります。

つぶあんは風味豊か、こしあんは滑らか

これまで1万種以上のあんこ菓子を食べたというにしいさんは、「つぶあんの魅力は、なんといっても小豆本来の味わいでしょう。小豆の外皮が残っているので、風味が豊かで、食べ応えがあります。これに対して、こしあんは、口当たり、舌触り、のどごしが滑らかで繊細です。『こしあんは飲み物』と言うファンがいるほどです」と説明します。

また、にしいさんは「どちらが好きか聞かれたら、『あんこはTPO』とお答えします。使われているスイーツや、季節、シーン、その時の気分で変わるからです」と語り、あんこの好みは状況によって柔軟に変化することを強調しました。

カロリー比較と桜餅の定番

あんこ菓子を食べる時に気になるカロリーについて、日本あんこ協会の調べによると、砂糖を含まない「生あん」で比較した場合、小豆の外皮がそのまま含まれているつぶあんの方が、外皮が取り除かれて大豆の中身だけで作られているこしあんよりもカロリーはやや低くなります。ただし、使われている砂糖の量などによってカロリーは増減するので、つぶあんの菓子の方が低カロリーだと一概には言えませんが、「ダイエット中だけれど、どうしてもあんこ菓子が食べたい」という人なら、つぶあんの菓子を選んだ方がいいかもしれません。

にしいさんに「桜餅はつぶあんか、こしあんか」を尋ねたところ、「関東風の桜餅(クレープ状の薄皮が生地)は基本的にこしあんです。関西風の道明寺(道明寺粉で作った餅が生地)もこしあんが多い印象ですが、つぶあんもよく見かけますね」との回答でした。

協力:日本あんこ協会(読売新聞メディア局 後藤裕子)