「炎で昼間のように…」空襲被災者の生の声、30年経て常時公開へ
今月31日にリニューアルオープンする江戸東京博物館(東京都墨田区)において、東京大空襲の被災者による証言映像が常設展示されることが決定した。これらの映像は約30年前に東京都がインタビューし、証言を収録していたものの、一部しか公開されていなかった。戦争体験者が年々減少する中、被害の実態を後世に伝える貴重な証言映像が、ようやく本格的に活用される運びとなった。
「夜中なのに、焼夷弾や炎で昼間のようだった」
博物館内の図書館の一角では、東京大空襲の体験を語る映像が2台のパソコンの画面で流れる。被災者たちは当時の恐怖を生々しく回想する。「隣の男性に爆弾が当たって、何もできず逃げ続けた」という証言もあり、戦争の悲惨さを如実に物語っている。図書室では早乙女勝元氏など戦争体験者の証言映像を視聴できるようになる。
198人分の証言を検索可能に
東京大空襲は1945年3月に発生し、10万人が犠牲になったとされる。今回公開されるのは、その空襲の被災者198人分の証言映像で、1人あたり約10分にまとめられている。視聴者は被災地域や属性、名前で検索して再生できる仕組みだ。この内容は25日にメディア向けの内覧会で公開された。
1990年代の収録から凍結、そして再注目
都が被災者にインタビューした背景には、1990年代に浮上した都平和祈念館(仮称)の建設計画があった。戦争体験者の貴重な証言を残し、祈念館で公開する想定で、1995年から99年ごろにかけて330人分の証言を収録した。しかし、東京大空襲の被害資料だけでなく、アジア諸国に対する加害的な側面も祈念館で取り上げる方針が示されると、一部の都議らが反発。1999年に建設計画が凍結され、証言映像も一時的な展示を除き、大半が倉庫で眠ったままになっていた。
近年、ウクライナ侵攻などの国際情勢を契機に戦争の記憶の継承が改めて注目される中、これらの証言映像への関心が再び高まっている。江戸東京博物館の常設展示は、戦争の実相を伝える重要な役割を果たすと期待されている。体験者が少なくなる時代にあって、映像を通じた証言の公開は、平和教育や歴史学習の貴重な資源となるだろう。



