尾道市御調町の市民団体「御調地方歴史文化研究会」は、地域で「オノテツ」の愛称で親しまれ、1964年に廃止された尾道鉄道に関する資料を紹介する図録「オノテツ アーカイブ 御調2025」を制作した。同会は「忘れ去られようとしている地域の歴史を、記録として後世に伝えたい」と話している。
オノテツの歴史
オノテツは、山陽と山陰を結ぶ鉄道敷設計画を基に、地元の政財界人が発起人となって1925年に西尾道駅(尾道市天満町)から石畦駅(同市木ノ庄町)までが開通。1933年には尾道駅と接続し、市駅(同市御調町)までの17.1キロが全通した。最盛期の1945年には年間208万人を輸送したが、路線バスの普及により利用者が減少し、段階的に廃止された。
図録の内容
図録では、オノテツが運行していた当時の写真や運転士の制服、車掌の腕章、時刻表、切符などを紹介。トンネルや鉄橋の跡といった現在も残る遺構や、車両のデータも掲載されている。また、同町での展覧会を見た個人から寄せられた新出資料も収録。中でも、車体に取り付けられていたほうろう製の行き先表示板には「三成―尾道」「石畦―尾道」と記され、往時の雰囲気を伝えている。
制作の背景
同会と尾道市は、オノテツ開業100年となる昨年11月、御調歴史民俗資料館で当時の資料を集めた展覧会を開催。9日間の会期ながら1000人以上が来場し、今年春には市中心部で写真資料を中心とした追加展示も行われた。同会は、展覧会の様子やオノテツの歴史を記録に残すため、図録の制作を決めた。
同会の住貞義量会長(79)は幼い頃、年に数回オノテツを利用していたという。「乗った経験のある人は高齢化で年々少なくなっている。山陰に鉄道を通そうとした当時の人々のエネルギーを知ってほしい」と話している。
販売情報
図録はB5判、オールカラー113ページ。税込み2200円で、同町の道の駅「クロスロードみつぎ」や県東部の「啓文社」などで販売中。



