熊本ゆかりの建築家・葉祥栄の軌跡をたどる展覧会が開催中
熊本市出身で、今年1月8日に85歳で逝去した建築家・葉祥栄氏の作品を紹介する「葉祥栄再訪 熊本展」が、熊本市中央区の市現代美術館で開催されています。会期は3月9日までとなっており、多くの来場者が氏の建築哲学に触れています。
九州を拠点に公共建築を手がけた生涯
葉祥栄氏は1940年生まれで、福岡を拠点にしながら九州内外で数多くの建築プロジェクトに携わりました。特に体育館や駅舎といった公共施設の設計を多く手がけ、地域社会に深く根ざした建築を追求しました。また、建築だけでなく、椅子や時計などのデザインにも関わり、多角的な創作活動を展開しました。
熊本県内では、小国町の町民体育館や町交通センター、宇城市の三角港フェリーターミナルなどが代表的な作品として知られています。これらの建築は、単なる機能的な構造物ではなく、地域の自然や文化を反映した独自のデザインが特徴です。
学生たちが企画・設営を担当
今回の展覧会は、葉氏から寄託された図面や模型などの資料を保存・研究している「九州大学葉祥栄アーカイブ」の学生たちが中心となって企画し、設営も担当しました。会場では、熊本県内で手がけられたプロジェクトを中心に、詳細な図面や精巧な模型が展示されています。
特に注目されるのは、小国町交通センターの模型です。このプロジェクトでは、杉の産地として知られる小国町の特性を活かし、間伐材の使用を提案するなど、持続可能な建築への取り組みが窺えます。また、三角港フェリーターミナルは、巻き貝の形状から着想を得てデザインされ、自然の美しさを可視化することを目指しました。
地域に愛される建築家の人間性に迫る
同美術館の里村真理学芸員は、「この展覧会は、熊本の人々にとって非常に身近な内容となっています。葉さんの温かい人柄や、建築家としての歩みを感じられる展示構成です」と語り、多くの来場を呼びかけています。
展覧会は入場無料で、開館時間は午前10時から午後8時までです。火曜日は休館日となっています。詳細な問い合わせは、熊本市現代美術館(電話:096-278-7500)までお願いします。
葉祥栄氏の建築は、単なる構造物を超え、地域の歴史や文化と深く結びついた芸術作品として評価されています。この展覧会を通じて、氏の遺した功績と、熊本の地に刻まれた建築遺産の価値を再認識する機会となるでしょう。



