異形の鬼神面「八雷神面」が76年ぶりに寺に帰還 クラウドファンディングで本堂修理実現
八雷神面76年ぶり寺帰還 CFで本堂修理実現

異形の鬼神面「八雷神面」が76年ぶりに寺に帰還 クラウドファンディングで本堂修理を実現

かつて奈良市の旧市街「奈良町」に広大な寺域を誇った元興寺。その歴史は日本初の本格的仏教寺院である飛鳥寺(法興寺)を源流とし、平城京時代には大寺院として栄えました。しかし中世以降、度重なる火災や戦災によって衰退し、寺域は寸断されました。現在は世界遺産の真言律宗元興寺(極楽坊)や小塔院、そして東大寺の末寺である華厳宗元興寺(元興寺塔跡、奈良市芝新屋町)に分かれています。

この華厳宗元興寺に伝わる異形の鬼神面「八雷神面」が、2026年3月24日、寄託されていた奈良国立博物館から約76年ぶりに寺に戻りました。八雷神面は江戸時代に厄除けの信仰を集めた貴重な文化財ですが、寺では保存条件が整わず、1950年から長年にわたり奈良博に寄託されていたのです。

クラウドファンディングで約1400万円を調達 本堂改修が実現

転機となったのは2024年秋、金龍寺の池田圭誠住職が華厳宗元興寺の住職を兼務することになったことです。池田住職は地元の有志らと協力し、八雷神面を寺に戻すため、昨秋から本堂の改修を目標とするクラウドファンディングを実施しました。その結果、約1400万円の資金が集まり、建物の修理や一部改装が進められたのです。

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八雷神面は昨年春に奈良博で開催された特別展「超 国宝」に出展され、ほとんど公開される機会がなかった異形の面として大きな反響を呼びました。この展示が契機となり、寺への帰還を求める機運が高まっていたのです。

慎重な輸送と感動の瞬間 支援者からどよめきが上がる

3月24日午後2時半ごろ、八雷神面を乗せた輸送車が奈良国立博物館から華厳宗元興寺に到着しました。奈良博の学芸員が立ち会う中、面は慎重に本堂に運び込まれ、梱包が解かれました。恐ろしい顔をした異形の面が姿を見せると、集まった支援者らから思わずどよめきが上がりました。

見守った池田住職は「長くおあずけしていた奈良博から戻っていただくことができ、本当にうれしい。こうした異形の面の信仰に関心を持って、奈良町に来ていただく人が増えれば」と感慨深げに語りました。

特別拝観の実施と今後の展望

八雷神面の帰還を記念して、4月2日午前11時ごろから同寺で開帳法要が営まれ、5日まで八雷神面をまつる本堂の特別拝観を実施します。拝観料は大人500円、小中高生400円です。4日と5日はイベントのため拝観無料となります。11日以降は毎週土曜日と日曜日の午前10時から午後5時まで拝観を受け付ける予定です。

華厳宗元興寺は幕末に五重大塔が焼失しましたが、昭和初期に本堂を再建し、大塔跡は国史跡に指定されています。しかし貴重な文化財を保存する条件が整わず、大塔本尊の薬師如来立像(国宝)は明治時代から、八雷神面は1950年から長年奈良博に寄託されていました。今回の八雷神面の帰還は、地元の熱意とクラウドファンディングという現代的な手法が結実した成果と言えるでしょう。

真新しい厨子に収められた八雷神面は、76年ぶりに本来の場所で静かにたたずんでいます。この異形の鬼神面が、これから多くの人々に奈良の深い歴史と信仰文化を伝える役割を果たすことが期待されます。

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