モディリアーニの真実に迫る『シン・モディリアーニ』岡田温司著
モディリアーニの真実に迫る『シン・モディリアーニ』

モディリアーニの新たな真実に迫る『シン・モディリアーニ』

イタリア美術を専門とする著者・岡田温司が、モディリアーニの真の姿を5つの視点から探求する『シン・モディリアーニ』(青土社、2860円)が刊行された。美術史家の金沢百枝氏(多摩美術大教授)が、その内容を高く評価する。

モディリアーニといえば、薄い色で塗りつぶされた瞳を持つ面長の肖像画や、大胆なポーズで観る者を惹きつける裸体画で有名だ。しかし、なぜ画家は肖像画で人物の目を塗りつぶすのか。これまで多くの人が疑問に思ってきたこの謎に、著者は古代イタリア彫刻の瞳を彫らない伝統に着目する。モディリアーニが彫刻家としてキャリアをスタートさせたことから、その瞳のない目は彫刻に由来するという推論は、金沢氏を「痺れさせる」ものだった。

さらに、1917年に開催されたヌードを含む個展が警察沙汰となりスキャンダルとなった事件について、著者は従来の説(戦時中の不謹慎や陰毛の描写)を退け、真の理由は「画家とモデルの間の既存のジェンダーの図式と優劣関係に揺さぶりをかけ、場合によっては超越していたこと」だと喝破する。モディリアーニは「芸術のならず者」として、ファッションにおいてもジェンダーの最先端を好み、男性の乗馬服を着た女性や、水兵服のショートカットの少女、おかっぱ頭のモダン・ガールなどを多く描いた。著者はモディリアーニが「彼女たち自身の欲望に寄り添おうとしていた」と論じ、金沢氏はその主張に「ただただ首肯するばかりだった」と述べる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

本書は「フェイク」に関する章を除く4つの章が相互に関連し、モディリアーニと第一次世界大戦前後のパリの芸術シーンへの理解を格段に深める良書だと評されている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ