奈良県斑鳩町の法隆寺大宝蔵殿で、特別展「戦国争乱期の法隆寺 秀長とその時代」が開かれている。大和を治めた豊臣秀長をはじめ、名だたる武将ゆかりの書状など計69件(国宝2件、重要文化財1件を含む)が展示され、その多くが初公開となる。時の権力者らと関わりながら、動乱の時代に伽藍を守り抜いた同寺の足跡をたどる、珍しい切り口の展示が見どころだ。
放送中のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で戦国時代の奈良に焦点が当たるなか、普段は披露される機会が少ないものの、境内に数多く残されている武将らに関わる資料や多彩な武具類を紹介しようと企画された。
信長や秀長ゆかりの品々
「織田信長禁制」(重要文化財)は、信長が軍勢の乱入や不当な徴収を禁じるため寺に発給した文書。当時の信長の官位「弾正忠」の文字や、楕円形の「天下布武」の朱印が確認できる。
時代が下り、郡山城入城直後の秀長が寺の治安を守るためのルールを記した「羽柴美濃守秀長条々掟書」には、秀長直筆の花押(サイン)が見える。
1614年の「大坂冬の陣」の決戦直前、徳川家康は子院・阿弥陀院に宿泊して戦勝を祈願した。その縁から奉納されたという剣「徳川家康奉納『信国』銘剣」なども紹介されている。
一般の人々の奉納品も
天下人らゆかりの品が並ぶ一方で、階級を問わず多くの人々が平和を願い、「峯の薬師」として信仰された西円堂本尊の薬師如来に奉納してきた武具なども展示。境内で1万点以上保管されている奉納品の中から、刀約50本のほか、金箔の残る室町時代の「金箔押阿古陀形十二間筋兜」などの兜もそろう。
世界最古の木造建築を守り伝え、兵火とは縁遠い印象を持たれる寺だが、間近に危機が迫ったことも。南大門から続く松並木の南端付近で1569年、信貴山を拠点とした松永久秀の軍勢約7000人と、宿敵・筒井順慶の約4000人が激突する「並松の戦い」が勃発。伽藍は運良く被害を免れた。こうした歴史を紹介する解説も、2人に関わる書状とともに設置されている。
展示を担当した録事の網干良秀さんは「時の権力者による保護や厳しい統制を受け入れながら、法灯を守ってきた先人たちの『したたかさ』を感じてほしい」と話す。
特別展は14日まで。午前9時から午後4時半まで。大人500円、小学生250円。問い合わせは法隆寺(0745-75-2555)。



