愛知県、南海トラフ地震で死者2.7万人と予測 政府試算を8000人上回る
愛知県、南海トラフ地震死者2.7万人予測 政府比8000人増

愛知県、南海トラフ地震で最大死者2万7000人と予測

愛知県は2日、南海トラフ地震が発生した場合の独自の被害予測調査結果を公表した。それによると、最悪のケースでは死者が2万7000人に達し、政府の中央防災会議が昨年試算した1万9000人を8000人上回る。県は堤防や水門の整備、避難施設の拡充などの減災対策が進んだ結果、2014年の県想定より死者が2000人減少したと説明している。

想定シナリオと被害の内訳

今回の調査では、マグニチュード9を超える巨大地震が冬の深夜に発生した場合を想定。沿岸部などで最大震度7が観測され、田原市では県内最大となる20.2メートルの津波が襲来。30センチの津波は豊橋市に5分で到達する。建物被害は冬の夕方の発生時が最悪で、全壊・焼失は36万7000棟(14年想定比1万5000棟減)に及ぶ。

政府試算との差は、国が地震後も堤防が一定程度機能すると判断したのに対し、県は一部の堤防が最大75%沈下し浸水域が拡大すると想定したために生じた。

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半割れ想定を初公表

県は今回、南海トラフの想定震源域全域が一度にずれ動くケースに加え、東西いずれかでM8程度の地震が起きる「半割れ」の被害想定も初めて公表した。過去の南海トラフ地震でも半割れは発生しており、昭和東南海地震(1944年)の2年後に昭和南海地震が、安政東海地震(1854年)の32時間後には安政南海地震が起きた。

半割れが起きると、残る領域で巨大地震が続発する恐れが高まる。県は西側で半割れ地震が発生した後、東側で巨大地震が起きるケースを想定。東側で単独の巨大地震が発生した場合、津波・浸水による死者数は5900人。先行地震後に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」が発表され、住民が1週間の事前避難を徹底した場合、死者数は2300人まで減るとしている。

過去の地震を基にした想定

過去に愛知県内を襲った大規模地震を基にした想定では、M8.9程度の地震が発生し、最大震度7を観測。田原市で県内最大の9.6メートルの津波が襲い、30センチの津波が豊橋市に9分で到達。死者数は冬の深夜のケースで最大5300人(前回比1100人減)。津波による死者は2800人(前回3900人から減少)。早期避難を徹底すれば死者数は2900人まで抑えられるとした。

建物の全壊・焼失棟数は9万2000棟。揺れによる全壊は5万棟、建物倒壊などによる死者は2400人。液状化による全壊は1万7000棟で、液状化危険度が高い地域は前回比16%増加。濃尾、岡崎、豊橋の各平野部で危険度が高い。震度7が予想される面積は前回比58%増加。焼失棟数は2万棟で死者は50人。津波による全壊棟数は4600棟(前回8400棟から減少)。

ライフラインと経済被害

ライフラインの被害では、断水が最大698万人、停電は県内の89%に及ぶと試算。固定電話の最大89%が不通となり、携帯電話基地局の停波率は最大81%。避難者数は発災1週間後に最大158万人に達すると見込んだ。経済被害は直接被害だけで19.4兆円(前回13.9兆円から増加)。物価高騰などを要因としている。また、東日本大震災や能登半島地震などを参考に、災害関連死は3300~8400人に上ると初めて試算した。

知事のコメント

大村秀章知事は2日、記者団に対し、「対策を進めていくことで、確実に被害を減らしていけることがわかった。引き続き、防災・減災対策に取り組んでいきたい」と述べた。

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