ノーサイン野球の真骨頂 東亜大・中野泰造元監督が語る神宮大会準決勝の名場面
ノーサイン野球の真骨頂 中野泰造元監督が語る神宮大会

ノーサイン野球の真骨頂 東亜大・中野泰造元監督が語る神宮大会準決勝の名場面

東亜大学硬式野球部の元監督である中野泰造氏は、今も脳裏に焼きついている試合があると語る。それは、同大学が2度目の全国制覇を果たした2003年の明治神宮野球大会の準決勝だ。中野氏は「選手たちにノーサイン野球の真骨頂を見せてもらった」と、当時を懐かしむように振り返る。

早稲田大との激闘 スター選手を擁する強豪相手に

相手は、元東京ヤクルトスワローズの青木宣親氏や元阪神タイガースの鳥谷敬氏といったスター選手を擁する早稲田大学だった。試合は四回に3点本塁打を浴びて先制を許し、東亜大は五回まで無得点と苦しい展開となる。しかし、中野監督は「相手は同じ学生。勝算はある」と臆することなく、選手たちを鼓舞し続けた。

「一気にひっくり返せ」という監督の声に応えるように、六回に反撃が始まる。無死一、二塁の好機で3番打者が打席に入った際、中野監督がタイムを取って狙いを尋ねると、選手からは「確実に送ります」という返答が返ってきた。送りバントを指示するものかと思いきや、その後の展開は意表を突くものだった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

選手たちの自主的判断が生んだヒットエンドラン

両走者がそろってスタートし、それに呼応して打者がヒッティング。ゴロが高く弾んで前進気味の一塁手の頭を越え、適時二塁打となった。指揮官をも欺く見事なヒットエンドランだったが、選手たちにとっては様々な状況を想定して行っている実戦形式の一つにすぎなかった。無死一、二塁で走者が走った場合の当たり前の判断であり、「日頃の練習のたまもの」だったと中野氏は強調する。

その後、東亜大は同点に追いつき、さらに一死満塁の好機を迎える。右打席に立ったのは8番の宮本龍主将だった。併殺打が頭をよぎった中野監督は、思わず「得意なやつをやれ」と口を出す。それはセーフティーバントを指示するサインだったが、その“サイン”が伝わらなかったのか、分かっていて無視したのか、宮本主将は初球を思いっきり空振りした。

ノーサイン野球の本質 選手の自主性と日々の鍛錬

この試合は、ノーサイン野球の本質を如実に示している。中野泰造元監督は、選手たちが監督の指示に頼らず、自ら状況を判断し、行動する姿勢こそが勝利への鍵だったと語る。早稲田大という強豪を相手に、選手たちの自主的なプレーが試合の流れを変え、最終的には勝利へと導いた。

2003年の明治神宮野球大会決勝では、神奈川大学との対戦で3回裏に3点三塁打を放った宮本主将を中野監督がたたえる姿も記録されている。こうした名場面の背景には、日々の練習で培われた選手同士の信頼と、ノーサイン野球という哲学があった。中野氏の指導方針は、単なる戦術ではなく、選手の成長を促す教育の一環として今も語り継がれている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ