77歳の情熱が導く歴史的快挙 専大松戸センバツ初のベスト4
第98回選抜高校野球大会で専修大学松戸高等学校(千葉県)を同校史上初のベスト4に導いた持丸修一監督(77歳)。この偉業により、持丸監督は選抜大会史上最高齢の勝利監督として新たな歴史を刻んだ。準決勝で大阪桐蔭に惜敗したものの、半世紀にわたる指導歴で培った哲学と情熱は今も衰えることを知らない。
「子どもたちの成長が一番」 選手への深い愛情
準決勝敗退後、持丸監督は茨城なまりの温かい口調で語った。「悔しさはやっぱりあるよね。でも俺だけでいい、この悔しさは。子どもたちは『俺たちでもできる』と、さらに成長してくれればいい」。この言葉には、孫ほどの年齢差がある選手たちへの深い愛情と信頼が込められている。
「子どもらを見て、夜に『こんなことさせてあげたいなあ』と思うと、たまらなく朝が待ち遠しくなる。何が面白いかって、子どもらの成長が一番ですから」と、持丸監督は目を細める。選手一人ひとりの成長を見守ることが、77歳になってもグラウンドに立ち続ける原動力となっている。
半世紀の指導歴で培った哲学
持丸監督の指導歴は半世紀に及び、これまでに竜ケ崎一、藤代、常総学院(いずれも茨城県)、そして専大松戸の4校を甲子園に導いてきた。27歳で母校・竜ケ崎一の指揮を執って以来、常に時代に合わせた指導法を模索し続けてきた。
「昔は俺がやらせるって時代だったが、今はそうじゃない」と持丸監督は振り返る。40代からは選手の自主性を重んじる指導に転換し、その哲学は専大松戸監督就任後も貫かれている。2007年の監督就任以来、2015年からは春夏通算6回の甲子園出場を実現させた。
投手育成の名手としての実績
持丸監督は特に投手育成に定評があり、数多くの教え子がプロ野球の舞台で活躍している。上沢直之(福岡ソフトバンクホークス)、高橋礼(埼玉西武ライオンズ)、横山陸人(千葉ロッテマリーンズ)らは、持丸監督の指導を受けた選手たちだ。
練習では立ったまま選手たちを見守り、背筋を伸ばした姿勢は77歳とは思えないほどしっかりとしている。毎日、茨城県取手市の自宅から片道1時間かけて練習場に通い続ける情熱は、選手たちにも大きな影響を与えている。
「野球高校じゃない、高校野球なんだから」
専大松戸には部活動の寮がなく、選手たちは自宅から通学している。持丸監督はこの方針について「親元で育ててもらうのが自然。『野球高校』じゃない、高校野球なんだから」と語る。野球だけが目的の高校生活にするべきではないという信念が根底にある。
地元の選手だけで緻密な野球を追求し、全国から才能を集める名門校を倒すことに醍醐味を感じるという持丸監督。「別にグラウンドでは死にたくない」「もうきついなあって思う」など、緩い発言も多いが、ひょうひょうとした人柄が若い選手たちから慕われる理由となっている。
次なる挑戦へ向けて
4月17日には78歳の誕生日を迎える持丸監督だが、その情熱はますます燃え上がっている。センバツ初のベスト4という快挙を成し遂げたものの、まだ目指すべき頂点はある。
「子どもたちがさらに成長してくれればいい」という言葉に込められた期待は、次世代の選手たちへのバトンとして受け継がれていく。半世紀にわたる指導の集大成として、持丸監督の情熱はこれからも高校野球界に新たな風を吹き込み続けるだろう。



