第4回中日新聞社スポーツ顕彰 4選手と1団体が選出 多彩な功績を称える
スポーツ分野で顕著な成績や功績を挙げた中部地区ゆかりの選手・団体を対象とした「第4回中日新聞社スポーツ顕彰」の受賞者が決定しました。今回は4人の個人選手と1つの団体が栄誉に輝き、国際舞台での頂点達成から若き才能の活躍、夏の甲子園を沸かせたチームまで、多様な顔ぶれがそろいました。各受賞者の業績と取り組み、喜びの声を詳しく紹介します。
有終の美を飾った新体操の主将 鈴木歩佳さん(26)
2025年の新体操世界選手権団体総合で、日本代表「フェアリージャパン」として史上初の金メダルを獲得した鈴木歩佳さん。主将として歴史に残る勝利を刻み、岐阜県安八町出身の彼女は5歳で競技を始め、15歳で世界を目指すと決意しました。個人種目を極める道もありましたが、「みんなで一つの事を成し遂げる団体にひかれた」と語ります。
2021年東京オリンピックで初めて五輪の舞台を踏み、2024年パリ五輪出場を懸けた予選では主将として臨みましたが、敗退。その後、年齢や経験値が異なるチームメイトをまとめ、再び世界一へ挑戦しました。悲願の金メダルを手に「やりきった」と引退を決断し、今年2月からは選手人生を支えてくれたミキハウスで働き始めています。「ありきたりではなく、自分にしかできないことをしたい」と、現役時代と変わらない明るい笑顔の奥には、今も強い意志が宿っています。
勇気を伝えるデフリンピックの円盤投げ選手 湯上剛輝さん(32)
昨年4月に日本記録の64メートル48をマークし、5月のアジア選手権で銀メダルを獲得。9月の世界選手権東京大会には聴覚障害のある日本選手として初出場し、11月の東京デフリンピックでは金メダルに輝きました。「表彰式で君が代が流れた瞬間、すごく込み上げるものがあった」と笑顔で語る湯上さんは、滋賀県甲賀市出身で先天性難聴を持ち、小学6年時から人工内耳を装着しています。
県立守山高校で本格的に円盤投げを始め、中京大学で頭角を現し、卒業後はトヨタ自動車に入社。普段は同市陸上競技場を拠点に練習に励んでいます。聴覚障害のある人を含め「多くの人に挑戦する勇気を感じてもらいたい」と競技に打ち込み、自身の活躍がろう者を知ってもらうきっかけになればとの思いも持っています。今秋の愛知・名古屋アジア大会でのメダル獲得に向けて、練習を積み重ねています。
新星として輝く車いすテニスの若き才能 松岡星空さん(16)
昨年9月のテニス全米オープン・ジュニア車いすの部女子ダブルスを初制覇した松岡星空さん。16歳の新鋭は「もっと強くなる」と意欲が高く、愛知県あま市出身で5歳で脊髄梗塞を発症し、腹部から下がまひしました。体を動かすことが好きで、小学校入学に合わせて車いすテニスを始め、現在は名古屋市緑区のクラブで技術を磨いています。
新星として頭角を現したのは、フランスで昨年1月にあった世界ジュニアマスターズでした。15歳13日で女子シングルスを制し、世界女王の上地結衣選手(31)が持つ最年少優勝記録を9カ月更新しました。今年1月の全豪オープン・ジュニアでも女子ダブルスを制し、シングルスは準優勝。ジュニア世界ランキングは2位(16日現在)で、次はシングルスでの四大大会ジュニア制覇を狙います。「昨年より良い結果を増やしたい」と語り、夢はパラリンピックでのメダル獲得です。こつこつと努力を重ね、夢を現実にするつもりです。
克己の精神で重量挙げ高校3冠を達成 田島宗さん(18)
昨年3月の全国高校選抜大会、8月の全国高校総体(インターハイ)、10月の国民スポーツ大会(国スポ)で優勝し、重量挙げの高校3冠を達成した田島宗さん。「今回の受賞でようやく3冠を実感した」と喜びを語ります。三重県四日市市出身で、中学1年までレスリングをしていましたが、優しい性格から人間同士がぶつかり合う勝負より己との戦いが魅力に映り、中2で兄がやっていた重量挙げに転向しました。
3年生時に当時の中学生日本記録を更新し、一躍スポットライトを浴びました。「毎日少しずつでも進化して、記録が伸びていくのがやりがい」と語る田島さんは、インターハイではスナッチで131キロ、国スポではクリーン&ジャークで160キロを挙げ、それぞれ大会新記録を樹立しました。4月から中央大学へ進学し、「世界ジュニア選手権に出て、五輪や世界選手権を目指す」と力をこめています。
笑顔で甲子園を沸かせた県岐阜商高硬式野球部
昨夏の全国高校野球選手権大会で、2009年以来の4強入りを果たした県岐阜商高硬式野球部。先天的に左手指が欠損しているという境遇にありながら、攻守で活躍した横山温大(はると)選手(3年)は「良い成績を残せた。(甲子園は)見渡す限り観客で、目に焼き付けようと思っていた」と振り返ります。
岐阜大会から破竹の勢いで勝ち進み、甲子園でも躍動。準々決勝では昨春の選抜を制した横浜(神奈川)に8-7で勝利し、ピンチでも笑顔を見せる選手の姿も話題となりました。延長十一回にサヨナラ打を放った坂口路歩(ろあ)選手(3年)は「自分たちが波に乗っていることも分かっていた。楽しくやろうと話し合った結果」と話します。1956年以来の決勝進出は後輩に託し、河崎広貴前主将(3年)は「一緒に甲子園に出た後輩もたくさんいる。全国制覇に向けて頑張ってほしい」と語り、球史に名を刻む名門の挑戦が続きます。



