町田ゼルビア、ACLEベスト8進出で藤田社長の壮大なビジョンが現実味を増す
FC町田ゼルビアは、初参戦となるアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)において、見事にベスト8進出を果たした。この快挙は、クラブの藤田晋社長が長年掲げてきた壮大な「ビジョン」の実現に向けて、確かな一歩を刻んだ瞬間となった。
サポーターに示された夢のような目標
町田ゼルビアは10日、本拠地である「町田GIONスタジアム」で江原FC(韓国)を1ー0で下し、2戦合計1ー0で8強入りを決めた。1次リーグの東地区を首位で通過した後、難関とされていたラウンド16も苦戦しながら乗り越え、チームの底力を証明した。
これにより、藤田社長が2019年のサポーターミーティングで示した「ビジョン」に記された「ACL優勝」まで、あと3勝に迫った。かつては現実離れした目標と見られていたが、今やその実現可能性が一段と高まっている。
IT大手のサイバーエージェントを創業した藤田社長は、2018年から町田の経営に参画。その際、クラブの将来像を描いた「ビジョン」を策定し、サポーターに提示していた。その内容は、「2020年にJ1昇格を目指し、2021年からJ1に参戦できる規模のチームにし、2024年から2025年頃にはJ1の優勝争いやACLで戦えるチームになる」という、野心的なものだった。
当初は共感を得られなかったビジョン
しかし、当時の町田ゼルビアはJ2で低迷しており、サポーターの間ではこのビジョンに対する共感は広がらなかった。藤田社長自身も、「リアリティーがないと言われたら、僕も同じですとしか言いようがない」と半信半疑な思いを率直に語っていた。
それでも、クラブは積極的な投資を続け、2018年に8億円に満たなかった売上高を57億円まで拡大。日本代表経験のある昌子源や、相馬勇紀、中山雄太といった有力選手の補強にも成功し、着実に力を蓄えてきた。
2024年には、ビジョンで語られた通り、初昇格のJ1で優勝争いに加わり、その結果として2025年9月からのACLE参戦権を獲得。藤田社長の構想は、確実に現実のものとなりつつある。
ACL優勝への並々ならぬ決意
藤田社長はACLE優勝に対して強い意欲を示しており、2025年11月には「ACL優勝を目指している。そう簡単には勝てないと思っていますから、どんどん強くしていきたい」と語り、並々ならぬ決意を明らかにした。
ベスト8以降の試合は、中東情勢の影響で先行きが不透明な部分もあるが、4月にサウジアラビアでの開催が見込まれている。対戦相手も、これまで東西の地区に分かれて戦ってきたが、サウジアラビアやカタールなどの西地区のクラブと顔を合わせることになる。
強敵との対戦に燃える選手たち
資金力のある西地区のクラブには、元フランス代表のベンゼマをはじめ、ヨーロッパの第一線で活躍した選手たちが名を連ねる。知名度では劣る町田だが、選手たちは対等に戦う覚悟だ。
中山雄太は10日の試合後、「僕は、それぐらいの相手をいつも欲している。逆に言えば、それぐらいの日常に身を置きたいと正直、思っているので。対戦が本当に楽しみ」と語り、強敵との対戦に胸を高鳴らせた。
チームは最低限の目標としてベスト8入りを掲げてきたが、ここで終わるつもりはない。主将の昌子源は、「町田にとって初めてのACLE。だからといって『ベスト8で無理でしたね。ちゃん、ちゃん』じゃない。やっぱり、やるからには(優勝を)目指したい」と淡々とした口調でチームの意気込みを代弁した。
大げさに思われたビジョンが、アジアの舞台で現実のものとなりつつある。町田ゼルビアの挑戦は、より国際色の強い「ファイナルズ」へとステージを移し、新たな歴史を刻もうとしている。



