カーリングの先攻・後攻は試合前から始まる静かな戦い
2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのカーリング女子競技では、フォルティウスの選手で構成される日本代表が1次リーグに挑む。カーリングは、野球のイニングに相当する「エンド」ごとに先攻と後攻が入れ替わる独特の競技だ。特に最後の1投を持つ後攻チームは圧倒的に有利とされ、その選択権を巡る戦いは試合前から既に始まっている。
エンドごとに変わる先攻・後攻の基本ルール
カーリングでは、直径3.66メートルの「ハウス」と呼ばれる円の中にストーンを入れて点数を競う。試合中は基本的に、前のエンドで得点を挙げたチームが次のエンドで先行となる。後攻チームはできるだけ多くの得点を挙げようとし、先攻チームは相手を最少点に抑えようとする。先攻チームが得点できれば「スチール」と呼ばれる好機となる。
両チームが戦略上の理由から得点をしないでエンドを終える「ブランクエンド」の場合、次のエンドは前のエンドと同じ先攻・後攻が継続される。しかし、最初の第1エンドの先攻・後攻はどのように決まるのだろうか。
ラストストーンドロー(LSD)による第1エンドの決定方法
オリンピックのような総当たり戦が行われる主要大会では、1次リーグの第1エンドの先攻・後攻は「ラストストーンドロー(LSD)」と呼ばれる特別なショットで決定される。試合前に両チームの代表者2人ずつが、1投目は時計回り、2投目は反時計回りに回転をかけて投球する。
この2投について、ハウス中心からの合計距離が短いチームが第1エンドの先攻・後攻の選択権を得る。通常、LSDに勝利したチームは有利な後攻を選ぶ傾向にある。このLSDは単なる先攻後攻の決定だけでなく、リーグ戦の順位決定にも重要な役割を果たす。
ドローショットチャレンジ(DSC)による順位決定
1次リーグで勝敗が並んだ場合、順位を決める指標として「ドローショットチャレンジ(DSC)」が採用される。これは1次リーグ全試合のLSDの記録から、悪い方から2つの数値を除外した残りのショットの平均値で順位を決定する方法だ。
2022年北京オリンピック女子カーリングでは、1次リーグ終了時にイギリス、日本、カナダの3チームが5勝4敗で並び、対戦成績でも決着がつかなかった。DSCの結果、イギリスが35.27センチ、日本が36.00センチ、カナダが45.44センチとなり、日本はカナダをわずか9.44センチ差で抑えて準決勝に進出した。
当時ロコ・ソラーレの選手で構成された日本代表は準決勝を勝ち上がり、決勝ではイギリスに敗れたものの銀メダルを獲得している。このように、LSDとDSCはカーリング競技において非常に重要な要素となっている。
ハンマーとは何か
カーリングのスコアボードには時折、ハンマーの絵が表示されることがある。この「ハンマー」とは、各エンドで後攻チームが投じる8投目の最後のストーン(ラストロック)を指す用語だ。ハンマーが表示されていることは、そのチームが後攻であることを示している。
2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは、日本代表の活躍が期待される中、LSDやDSCといった細かいルールが勝敗を分ける鍵となるかもしれない。カーリングは氷上のチェスとも称されるほど戦略性の高い競技であり、試合前からの静かで熱い戦いが注目される。



