姉・菜那さんが涙ぐむ妹・美帆を優しく抱きしめる
2026年2月21日、ミラノ・コルティナオリンピックのスピードスケート女子1500メートルで、高木美帆選手(当時33歳)が6位に終わり、リンクサイドで涙を浮かべた。その姿を、テレビ解説者として見守っていた姉の高木菜那さん(33歳)がすぐに駆け寄り、深く抱きしめた。菜那さん自身も目に涙を光らせながら、妹に優しい言葉をかけた。
現役引退後、初めて異なる立場で見た五輪
2022年北京オリンピックを最後に現役を引退した菜那さんは、今回が初めて競技者ではない立場で五輪の時間を過ごした。リンク脇から妹のレースを注視しながら、複雑な思いを抱いていたという。
「試行錯誤しながら、成長しながら、戦ってきたと思いますけど、この五輪までに、『粘る』というピースをはめきれなかったのかな」と、菜那さんは妹の滑りを振り返った。現役時代とは全く異なる視点から、妹の戦いを見つめることになった。
目標を声に出すようになった妹の覚悟
菜那さんにとって特に印象的だったのは、妹・美帆選手がこれまでとは違う姿を見せ始めたことだ。
「北京五輪までは『勝ちたい』と言う子じゃなかった。金メダルを取りたいとか、勝ちたいとは言わずに戦ってきた子が、そこを目標に掲げ、声に出して戦ってきた。相当な覚悟だったのだろうなと思います」
昨秋の五輪シーズン直前、美帆選手の調子は思うように上がらなかった。周囲が心配するほどの精神状態に陥る時期もあったという。
恐怖と向き合い、戦い抜いた妹の姿
「どんどん時間が迫ってくる、五輪が近づいてくるけど、先が見えない時間が続いていく。それは非常に怖いと思う。でも、そこからちゃんと自分と向き合って、戦い抜いたなって思います」
菜那さんは、妹が抱えたプレッシャーと恐怖に理解を示しつつ、それらを乗り越えて戦い続けた姿勢を評価した。レース後、涙を流す妹を抱きしめた時、菜那さんは心から伝えたい思いがあった。
「もう、強くあり続けなくてもいいよ」
「強い美帆をずっと見せてきてくれた。きっと、つらい時も人には見せず、ずっと戦ってきた。もう、強くあり続けなくてもいいよ」
この言葉には、長年にわたってトップアスリートとしての重圧を背負い続けてきた妹への労りと、これまでの戦いに対する感謝の気持ちが込められていた。姉妹の絆がにじみ出る温かな瞬間が、オリンピックという大舞台で繰り広げられた。
高木姉妹のこの感動的なやり取りは、競技の結果以上に、アスリートの人間味と家族の絆の深さを観客に伝えるものとなった。菜那さんの優しい言葉は、妹だけでなく、多くの人々の心にも響いたに違いない。



