ミラノ・コルティナ五輪 坂本花織、銀メダル獲得 現役最後の演技は「愛の讃歌」
ミラノ・コルティナオリンピックは19日、フィギュアスケート女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)2位の坂本花織選手(シスメックス)が147.67点をマークしてフリーでも2位となり、合計224.90点で銀メダルを獲得しました。SP首位の中井亜美選手(TOKIOインカラミ)はフリー9位の140.45点でしたが、合計219.16点で銅メダルを獲得。千葉百音選手(木下グループ)は合計217.88点で4位となりました。SP3位のアリサ・リュウ選手(米国)がフリーで1位となり、逆転で優勝を果たしました。フィギュアスケートは全ての種目を終え、日本は過去最多となるメダル6個(金1、銀3、銅2)を獲得しました。
演技後半のジャンプミスが明暗を分ける
坂本選手は演技後、かすかにほほ笑み、何度もうなずきました。「最後に100%出し切れなかった」と語り、現実を受け入れようと必死だった様子です。表彰台では涙を流す姿も見られました。演技後半に予定していた3回転フリップ―3回転トウループの連続ジャンプで、最初のフリップの体勢が崩れて単発となり、このミスがメダルの色を決定づけました。リュウ選手との合計点の差は1.89点で、基礎点の計算ではこのミスだけで6.37点を失ったことになります。
その後、単発の3回転を連続ジャンプにして挽回する手もありましたが、「残りは確実に決めよう」と回避を選択。ルール上は可能でしたが、「あまりやったことがなかった」と断念した背景があります。一方で、主に芸術面を評価するプログラム構成点では、全選手でただ一人、3項目全てで9点台をマークし、計74.84点とリュウ選手を上回る高評価を得ました。
現役最後のフリーに込めた想い
坂本選手が現役最後のフリーに選んだ曲は「愛の讃歌」です。2013年に初出場した全日本選手権で、この曲で滑る鈴木明子さんの演技に「激ぼれした」と語り、鈴木さんが翌年のソチ五輪出場後、現役を引退した姿に感銘を受けました。そのため、自身も最後はこの曲を使うと決意し、スケート人生の全てを込めた約4分間の演技を披露しました。
4年間の歩みを振り返り、涙が止まらなかった坂本選手。北京大会後、トリプルアクセルや4回転ジャンプの練習に取り組んだ時期がありましたが、足首を痛めてねんざ癖がつき、氷に垂直に力をかけられなくなりました。「力が伝わりにくくなって、跳べる可能性が遠のいた。曲に入れるのは無理かなって」と語っています。
そこで、持ち味のダイナミックな演技の質を高めるため、3季前から体作りを見直し、体幹やお尻回りの筋力を強化してきました。最後は「ここまでの頑張りが銀メダルにつながった。しっかり受け止めよう」と泣き笑いした姿が印象的でした。
日本勢のメダルラッシュと今後の展望
この大会では、フィギュアスケート全種目を通じて日本が過去最多のメダル6個を獲得し、冬季オリンピックにおける日本の強さを改めて示しました。坂本選手の銀メダルは、その中でも特に注目される成果の一つです。演技後、直前にリュウ選手が好演で会場を沸かせた余韻が漂う中での登場でしたが、「いい緊張感で、体も動いていた」と振り返り、「なぜああなったのか、わからない」とミスへの悔しさをにじませました。
今後、坂本選手の引退により、日本のフィギュアスケート界は新たな時代を迎えますが、この銀メダルはその礎として記憶に残るでしょう。選手たちの健闘を称えつつ、次世代への期待も高まっています。



