坂本花織、銀メダルで恩師の教えを実践 ミラノ・コルティナ五輪
【ミラノ=読売取材団】第25回冬季オリンピックミラノ・コルティナ大会は、第14日の2月19日にフィギュアスケート女子フリーが行われ、ショートプログラム2位の坂本花織(25)(シスメックス)がフリーでも2位となり、合計224.90点で銀メダルに輝きました。2022年北京大会の銅メダルに続く、2大会連続のメダル獲得です。初出場でショートプログラム首位の中井亜美(17)(TOKIOインカラミ)も銅メダルを手にし、フィギュアスケート女子で初めて日本勢2人が表彰台に立ちました。
悔しさを乗り越え、上質な滑りで魅了
演技後に得点を待つ「キス・アンド・クライ」で、坂本は金メダルを逃したことを知りました。演技後半の連続ジャンプでバランスを崩し、単発ジャンプになってしまったのです。たった一つのミスが響き、首位に届かなかった悔しさで涙をこぼす坂本に、中野園子コーチが「よく頑張りました」と声をかけました。
坂本は4歳でフィギュアスケートを始めて以来、ずっと中野コーチの指導を受けてきました。幼い頃の夢は「中野先生になりたい」と語るほど、強い絆で結ばれています。指導は妥協を許さず厳しい一方で、苦しい時には寄り添い、大切な教えを伝えてきました。その一つが「人と戦うな」という言葉です。
恩師の言葉が導いた内面への意識
ジュニア時代の2014年、国際大会でミスが続き、試合後に泣きじゃくった坂本は、強いロシア選手を「絶対負かしてやる」と思い、他人の点数を意識して傲慢に考えていたと振り返ります。恩師の言葉の意味に気づき、意識は自らの内面に向けられました。難しいジャンプよりも、流れるような跳躍とスピードに乗った上質な滑りを追求する姿勢が、今回の銀メダルにつながったのです。
演技直前には、リンクサイドから中野コーチに背中をたたいてもらい、気合を入れるのがお決まりの儀式でした。五輪のリンクは壁が分厚く、コーチの手が届かないため、代わりに坂本が後ろに伸ばした右手をポンポンとたたいてもらい、「花織は強いです」と送り出されました。この信頼関係が、安定した演技を支えました。
日本勢のメダルラッシュと今後の展望
今大会の日本勢のメダルは24個となり、冬季オリンピック通算で100個に達しました。千葉百音(20)(木下グループ)は4位に入り、ショートプログラム3位のアリサ・リュウ(20)(米国)が逆転優勝を果たしました。
坂本は今季で現役を引退し、今後は中野コーチのもとで「坂本先生」として指導者になる予定です。立場は変わっても、二人の歩みは続いていきます。恩師の教えを胸に、銀メダルを獲得した坂本の滑りは、多くのファンに感動を与えました。



