高木美帆が明かす「無言の40秒」の真実 デビットコーチとの特別な絆
スピードスケート女子の高木美帆選手が、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック後に、ヨハン・デビットコーチとの特別な関係性について改めて語った。500メートル、1000メートル、団体追い抜きで三つの銅メダルを獲得した高木選手は、自身がスポーツアンバサダーを務める高級時計ブランド「オメガ」のパビリオンでの取材に応じ、コーチへの深い感謝の念を明らかにした。
「最後に笑顔を届けたかった」 五輪金メダリストへの成長を支えた師
高木選手とデビットコーチの出会いは2015年にさかのぼる。当時、世界的な実績がなかった高木選手を、オリンピックの金メダリストへと導いたデビットコーチについて、高木選手は「この4年間の時間が、私にとって、ヨハンを特別な存在にしてくれた」と振り返る。
特に2022年北京オリンピック後は、両者の関係性がより深まった。高木選手が日本スケート連盟のナショナルチームを離れ、選手個人がチームを立ち上げる異例の歩みを選択した際、デビットコーチはその道を共に歩んでくれた。
1500メートルでの無念 抱き合った瞬間の「言葉にならない感情」
最大の目標としていた1500メートルでは、金メダルも表彰台も逃し、6位に終わった。レース後、高木選手とデビットコーチは抱き合い、高木選手は涙を流しながら、コーチはその背中をさすった。
高木選手は当時の心境を「あの時はもう、言葉にならない感情なのか、言葉はいらない感情なのか。どちらだったのか、今となっては分からないですけど。私自身は深く思いをかみ締めていた」と語る。約40秒間、互いに無言のままだったという。
「彼の姿勢そのもの」 無言の抱擁に込められた信頼
高木選手はデビットコーチについて「彼はいつも私を知ろうとしてくれていた。何を考え、どう感じているか。私がつたない英語しか使えない時でも、ずっとそういう努力をし続けてくれた」と強調する。
そして、あの無言の抱擁について「彼の、私に対する姿勢そのものだった」と述べ、深い信頼関係を物語るエピソードとして明かした。夢に描いた歓喜の瞬間ではなかったが、高木選手にとって何物にも代えがたい、大切な時間だったという。
高木選手は「最後に笑顔を届け、彼を笑顔で終わらせたかった」とコーチへの思いを語り、オリンピックという大舞台を共に戦った師弟の絆を浮き彫りにした。このインタビューは、アスリートとコーチの間に築かれた人間的な結びつきの深さを改めて感じさせる内容となっている。



