認知症・軽度認知障害者の8割が消費者被害を認識できず 消費者庁調査で判明
認知症・軽度認知障害者 8割が消費者被害を認識できず (29.03.2026)

認知症・軽度認知障害者の消費者被害 8割が認識できず

消費者庁が実施した研究プロジェクトの調査で、認知症やその前段階とされる軽度認知障害(MCI)の人が消費者被害に遭ったり、遭いそうになったりした事例のうち、約8割で本人が被害を認識していない実態が明らかになった。この調査は、実際に認知症の人などに接している医療・福祉専門家へのアンケートを通じて実施された。

医師らへの調査で判明した深刻な実態

調査は、消費者庁の研究プロジェクトの一環として、京都府立医科大学の成本迅教授(精神医学)らの研究班が2024年度に実施した。日本認知症学会や日本老年精神医学会など5つの学会を通じてアンケート回答を依頼し、医師や看護師、社会福祉士など計500人が回答した。

回答者の約4割が、消費者被害に遭ったり、遭いそうになったりした認知症やMCIの人に対応した経験があった。実際の対応事例208件について詳細を尋ねたところ、80.3%で当事者本人が被害について認識していなかったことが判明した。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

被害者の年代と認知機能の特徴

被害に遭った当事者の年代では、80代が59.1%を占め、次いで70代が24.5%となっている。重症度別では、認知症の中等度が39.9%、軽度が26.4%、MCIが20.7%と続き、重度の割合は多くなかった。

認知機能障害の内訳を見ると、判断力の低下(76.4%)、記憶障害(68.3%)、実行機能障害(47.6%)などが多く見られた(複数回答)。これらの認知機能の低下が、被害認識の困難さにつながっている可能性が示唆される。

消費生活センターへの相談は2割程度

調査では、医師らが把握する限り、各地の消費生活センターにつながったケースは2割ほどにとどまっていた。これは、本人が被害を認識していないため、適切な相談や支援につながりにくい現状を反映している。

消費者庁は「認知症の人にやさしい対応のためのガイド」をまとめており、今回の調査結果は、認知症やMCIの人に対する消費者保護の重要性を改めて浮き彫りにした形だ。高齢化が進む中、認知機能が低下した人々の消費者被害防止に向けた対策が急務となっている。

今後の課題と対策の必要性

この調査結果は、認知症や軽度認知障害を持つ人々が消費者被害に遭いやすい状況にあることを明確に示している。本人が被害を認識できない場合、家族や周囲の人が早期に気づき、適切な支援につなげることが重要だ。

また、金融機関や販売事業者などが、認知機能が低下した顧客に対する配慮や保護措置を強化することも求められる。消費者庁は、関係機関と連携しながら、認知症の人にやさしい社会の実現に向けた取り組みを進めていく方針だ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ