栃木県が「地区防災計画」モデルを公開 地域の共助強化で大規模災害に備える
栃木県が地区防災計画モデル公開 地域共助で災害備え

栃木県が「地区防災計画」モデルを公開 地域の共助強化で大規模災害に備える

東日本大震災からまもなく15年を迎えることを契機に、栃木県は地域住民による自主的な防災活動を促進するための重要な取り組みを開始しました。県は、避難活動や避難所運営など地域住民の自発的な活動をまとめた「地区防災計画」のモデルを作成し、県のホームページなどで公開しています。この取り組みは、地域コミュニティによる「共助」の力を強化し、大規模災害に対する備えを万全にすることを目的としています。

地区防災計画の法的位置づけと背景

地区防災計画は、2011年に発生した東日本大震災の教訓から生まれた制度です。当時、多くの自治体が地震や津波によって甚大な被害を受け、避難所の運営を地域住民が主体的に担わざるを得ない状況が発生しました。この経験を踏まえ、2013年6月に災害対策基本法が改正され、地区居住者などによる自発的な防災活動に関する計画として正式に位置づけられました。栃木県ではこれまで、地域防災リーダーや支援者向けの策定マニュアルを作成するなどして推進しており、2025年4月1日現在で県内では186の地区防災計画が既に策定されています。

3つのモデルパターンの特徴

今回、栃木県が作成したモデルは、地域の実情に合わせて活用できるよう、以下の3つのパターンに分かれています。

  1. 基本版:地区の概要や過去の主な災害、今後想定される災害の種類、防災マップなどが詳細に記載されています。地域の特性を把握し、総合的な防災対策を立てるための基礎資料として活用できます。
  2. 孤立可能性集落版:地理的条件などから災害時に孤立する可能性が高い集落向けに設計されています。孤立が発生した場合の具体的な対応策、予想される孤立期間、連絡手段の確保方法などが明確に記述されています。
  3. シンプル版:平時、地震発生時、風水害時など、様々な状況における家庭と自主防災組織のそれぞれの対応が簡潔に説明されています。初めて防災計画を作成する地域でも取り組みやすい内容となっています。

モデル作成の背景と今後の目標

県がこのモデルを作成した背景には、自治会や自主防災組織から寄せられた「具体的に何を書いたらいいのか分からない」「ゼロから作るのは難しい」といった声があります。これらの課題を解決するため、実践的な参考例を示すことで、より多くの地域が防災計画を策定できる環境を整えました。栃木県は、2026年度から年間50地区程度の計画策定を目標として掲げており、地域防災力の向上を図っていく方針です。

県消防防災課の担当者は次のように語っています。「まずは地区防災計画を作成することから始めてください。そして、毎年実施する防災訓練や食料品などの備蓄準備にこの計画を活用していただきたいです。最初から完璧を目指す必要はありません。毎年、実践を通じて改良を加え、内容を充実させていくことが重要です。」

この取り組みは、災害対策基本法の改正から10年以上が経過した今、地域コミュニティの防災力をさらに高めるための新たな一歩となります。栃木県は、モデル計画の普及を通じて、県内全域の防災体制の強化を推進していく構えです。