高槻市が災害対策で新たな給水システムを導入、水道管に貯水機能を組み込み
大阪府高槻市は、2018年に発生した大阪北部地震での断水経験を踏まえ、災害時に迅速な給水を可能にする「貯水機能付給水管」の設置を開始しました。この取り組みは府内で初めての試みであり、水道管の耐震化が遅れる避難所を中心に順次導入を進めています。
サッカーボール型の給水タンクで常に新鮮な水を確保
昨年12月、市水道部の庁舎敷地内に、直径1.6メートルのサッカーボールのような形状をした給水タンクが試験的に設置されました。このタンクは、高い水圧に耐えられる五角形と六角形のステンレス鋼板を溶接した構造で、平常時は水道管の一部として機能し、水が滞留せずに流れ続けるため、水質を悪化させることなく常に新鮮な水を貯水できます。
貯水量は約2トンで、これは約222人分の3日間に相当する量です。非常時には、タンクに備え付けられた蛇口から直接給水が可能で、水が空になった場合でも給水車から補充できる仕組みとなっています。市では今月下旬にも、職員を対象に操作訓練を実施し、災害時のスムーズな給水体制を整える予定です。
大阪北部地震の教訓から生まれた迅速な対応策
2018年の大阪北部地震では、高槻市内で水道管が破損し、断水や水道水の濁りが約8万6000戸に発生しました。復旧には約2日間を要し、その間、他自治体からの給水車支援に依存したものの、市民が長蛇の列を作るなど混乱が生じました。
従来のマンションや防災施設に設置されている貯水槽は、水が空気に触れるため定期的な点検や清掃が必要で、防火用として飲用に適さないケースが大半でした。これに対し、新たな貯水機能付給水管は、設置費用が水道部庁舎分で約1600万円かかりましたが、地震の教訓から迅速な給水の必要性を判断し、導入が決定されました。
南海トラフ地震に備えた長期的な防災計画
高槻市は、南海トラフ地震などの大規模災害に備え、避難所となる市立小中学校の水道管の耐震化を推進しています。2030年度までに全59校のうち49校で完了させる計画で、耐震化が2031年度以降となる残り10校については、2026年度から5年間かけて2~4トンの貯水機能付給水管を整備し、災害対策を強化します。
市水道部の担当者は、「設置後は地域住民と連携して運用を進め、災害時の給水機能を一層強化していきたい」と語っています。この取り組みは、持続可能な防災インフラとして、今後の自治体のモデルケースとなることが期待されます。



