東日本大震災15年 新宿で福島被災地の現状を訴えるイベント開催
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から15年となる2026年3月11日、東京都新宿区高田馬場の歌声喫茶「ともしび」において、福島県の被災地の現状を知るためのイベントが実施され、約50人の参加者が集まりました。この催しは、震災と原発事故の記憶を風化させないことを目的としており、福島県浪江町出身者らが貴重な証言を披露しました。
原子力緊急事態宣言の継続を忘れないで
イベントでは、浪江町の帰還困難区域である赤宇木(あこうぎ)地区で生まれ育った今野邦彦さん(67)が登壇し、「原子力緊急事態宣言が今もまだ続いていることを忘れないで」と強く訴えました。浪江町は原発事故により全住民が避難を余儀なくされ、放射能汚染が深刻な赤宇木を含む津島地区の大部分は、15年経った今でも帰還困難区域のままです。
今野さんは、同じ赤宇木の住民たちと共同で作成した記録誌「百年後の子孫たちへ」を紹介しました。この記録誌は、避難先を訪ねて聞き取った実名の証言を基にしており、「怒りの言葉はないが、言葉で表現しきれない怒りを全888ページで伝えている」と説明しました。この取り組みは、被災者の生の声を後世に残す重要な試みとして注目されています。
浪江町の歴史と参加者の反響
また、浪江町出身の歌人・三原由起子さん(46)と国文学研究資料館教授の西村慎太郎さん(51)が、浪江の近代史の一幕を紹介しました。1935年(昭和10年)5月に、南朝の天皇を自称した「熊沢天皇」が浪江を訪れ、大きな催しが行われたことで「浪江で南朝ブームが起きた」というエピソードが語られ、参加者からは驚きの声が上がりました。
イベントに参加した葛飾区の滝島安子さん(76)は、「15年たつと関心が薄れてしまう。私たちは現実を知らないといけないですね」と感想を述べ、震災の記憶を継承することの重要性を強調しました。このイベントは、被災地の現状を都心で伝える貴重な機会となり、参加者たちに深い印象を残しました。



