栃木県警が警察官採用試験を大幅に見直し 2026年度からSPI導入で受験者増を狙う
人手不足が社会全体の課題となる中、栃木県警も警察官のなり手不足に頭を悩ませている。受験者数は2004年度の約3000人をピークに減少傾向が続き、2025年度にはわずか254人にまで落ち込んだ。県警全体の警察官定数は微増傾向で約3400人であり、合格者は近年100人程度で推移している。この状況を打破するため、県警は2026年度の採用試験から選考方法を刷新し、幅広い人材を募ることで治安維持につなげたい考えだ。
受験者減少の背景と対策
県警は受験者減少の理由として、少子化や厳しい職場のイメージを背景に挙げている。対策として、業務説明会を強化し、高校生や大学生向けに体験イベントを実施している。例えば、2026年2月21日には宇都宮市の県警察学校で説明会が開かれ、30人が参加。機動隊の装備を着用し、5キロの盾の構え方を体験するなど、警察官の仕事を身近に感じてもらう試みが行われた。
参加した今市高校1年の中村玲衣奈さん(16)は「人を助ける警察官の仕事に憧れる。体力不足は感じたけど、女性白バイ隊員を目指して鍛えていきたい」と語った。一方で、体力への不安や警察学校での集団生活への懸念を口にする参加者もおり、県警はこうした不安を払拭するため、保護者も参加できるオープンキャンパスやオンライン面談を実施している。
採用試験の見直しとSPI導入
2026年度からは採用試験自体も大きく変更される。1次試験では、従来の公務員試験で一般的な「教養試験」に加え、民間企業の採用で広く使われる「SPI3」という適性検査を導入。受験者はどちらかを選択できるようになり、民間企業との併願が容易になることで、より多様な人材の獲得を目指す。
また、年齢上限も引き上げられ、1997年度に29歳未満から33歳未満に変更された後、今回さらに35歳未満に拡大された。県警は「30歳代であれば、体力面で大きな問題はない」と判断しており、キャリアチェンジを考える人々にも門戸を広げる。
今後の展望と課題
県警人事課の高山寛之・課長補佐は「より多くの人に受験してもらうことが、警察官の質の維持につながる。今後も警察官という仕事の魅力を伝えていきたい」と強調した。2026年度の採用試験申し込みは3月3日から開始される予定で、県警は受験者増加に向けた取り組みを継続していく方針だ。
栃木県警のこの取り組みは、全国的な警察官不足への対応として注目されており、他の自治体にも影響を与える可能性がある。受験者減少という課題に対し、柔軟な選考方法の導入は、公務員採用の在り方を見直すきっかけとなるかもしれない。



