育休2度の男性店長の降格は違法と判断 au代理店に慰謝料約150万円支払い命令
育休男性店長の降格は違法 au代理店に慰謝料命令

育休取得の男性店長への降格措置が違法と判断 au販売代理店に慰謝料支払い命令

2026年3月27日、津地裁(小川貴寛裁判官)は、育児休業を2度取得した男性店長を降格させたことが違法であると判断し、勤務先のau販売代理店「クロップス」(本社・名古屋市)に対して慰謝料など約150万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。この判決は、育児・介護休業法が禁じる育休を理由にした不利益な扱いを明確に違法と認定した重要な事例となっています。

育休取得後の不当な降格と労働条件の悪化

判決文や関係者の証言によりますと、原告である30代の男性は、三重県内の携帯電話ショップにおいて店長として勤務していました。男性は2022年4月から10月まで、そして2023年6月から2024年4月までの計2回にわたって育児休業を取得しています。

1度目の育休後には、一般スタッフとして復職したものの、わずか1カ月後に別の店舗で店長職に復帰することができました。しかし、2度目の育休後には状況が一変します。男性は副店長に降格され、等級も引き下げられたのです。さらに、基本給の減額分を補填するために支給されていた調整手当も、わずか3カ月で打ち切られてしまいました。

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男性はその後も店長職に戻されることなく、2025年2月末に退職に至っています。この一連の経緯が、今回の訴訟の核心的な争点となりました。

裁判所が指摘した雇用管理の不備と違法性

小川裁判官は判決の中で、会社側の対応に重大な問題があると指摘しました。まず、「復帰後3カ月を経過しても、なお原告を店長職ないしは店長相当職に戻す対応ができないほど業務運営上の支障が継続していたかは疑問」と述べ、降格の正当性に強い疑義を呈しています。

さらに重要なのは、会社が育休後の配置や労働条件について事前に十分な検討を行っていなかった点です。判決は、雇用管理上必要な措置を講じていなかったとして、遅くとも2024年9月1日までに男性を店長職に戻さなかったことを違法と明確に判断しました。

この判断は、育児・介護休業法が定める「育児休業を理由とする不利益取扱いの禁止」に真っ向から違反する行為であることを示しています。裁判所は、単なる人事異動ではなく、育休取得を事実上の理由とした不当な降格であると認定したのです。

原告男性の心境と社会的な意義

判決後、原告男性は「ほっとした気持ちです」と安堵の表情を見せながら語りました。さらに、「同じ会社の中で私と同じように男性育休を取られる方もいらっしゃると思うので、同じような被害に遭わないでほしい」と述べ、今回の判決が同様の立場にある労働者たちへの希望となることを願う言葉を添えています。

一方、被告となったクロップス社は、報道機関の取材に対して「判決文を確認してから対応を考えたい」とのコメントを出すにとどまっています。今後の対応が注目されます。

男性の育休取得を巡る社会的背景と課題

この判決は、男性の育児休業取得が依然として社会的な課題となっている現状を浮き彫りにしています。近年、政府は「育休取得率の向上」を掲げて様々な施策を推進していますが、実際の職場では、取得後の復帰における不利益な扱いが後を絶たない実態があります。

特に今回の事例では、以下の点が重要なポイントとして挙げられます:

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  • 育休取得を事実上の理由とした降格が明確に違法と認定されたこと
  • 会社側が事前の雇用管理措置を怠っていたことが違法性を高めたこと
  • 男性の育休取得に対する社会的な理解がまだ不十分であること

この判決は、企業に対して育休取得者への適切な対応を求める明確なメッセージとなると同時に、男性の育児参加を促進するための重要な一歩となることが期待されています。労働環境の整備とジェンダー平等の実現に向けて、今後も同様の事例に対する司法の判断が注目されることでしょう。