電機大手の春闘始まる ベア要求最高額もリストラの影 雇用の行方に注目
電機春闘始まる ベア要求最高額もリストラの影

電機大手の春闘交渉が本格始動 賃上げ要求は過去最高水準に

2026年2月19日、電機大手各社の春闘交渉が正式に開始されました。物価高騰への対応と優秀な人材の確保を目的として、労働組合側は高い水準の賃上げ要求を掲げています。しかし、その一方で業界内では大規模なリストラが進行しており、雇用環境に大きな揺らぎが見られる状況です。3月中旬に予定されている経営側からの回答が注目を集めています。

ベースアップ要求額は月1万8千円 1998年以降の最高記録

電機大手の各労働組合は19日、春闘の要求書を各企業に提出しました。賃金体系の底上げを図るベースアップ(ベア)の要求額は月額1万8千円に設定されています。この金額は前年度を1千円上回り、現在の要求方式が導入された1998年以降で最高の水準となりました。自動車産業や鉄鋼業界など他業種と比較しても、非常に高い要求額であることが特徴です。

東京都千代田区にある日立製作所本社では、半沢美幸労働組合委員長が滝本晋常務執行役員に対して要求書を手渡しました。滝本常務はこの場で「人材への投資を社員のモチベーション向上や高い価値の発揮につなげ、会社の成長を促進するための議論を深めていきたい」と述べ、前向きな姿勢を示しました。

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電機連合の統一交渉が慣例 約58万6千人の組合員が対象

電機大手労組のベア要求額は、産業別組織である電機連合が定める目標に沿って設定されています。電機連合には約58万6千人の組合員が所属しており、電機業界では例年、主要企業の労働組合が要求額を統一する「統一交渉」が慣例となっています。この仕組みにより、業界全体として賃上げ要求の足並みを揃えることが可能となっています。

業界に広がるリストラの現実 中高年社員を対象に若返り図る

高い賃上げ要求が掲げられる一方で、電機業界では人件費の高い中高年社員を中心としたリストラが拡大している現実があります。東京商工リサーチの調査によると、2025年に早期退職制度を募集した上場企業43社のうち、最多の業種は「電気機器」の18社でした。これは前年より5社増加しており、募集人数も他業種を大きく上回っています。

事業構造の急速な変化に対応するため、企業側は組織の若返りを図ることを目的としてリストラを実施していると分析されています。例えば三菱電機は今月3日、グループ全体での人員削減計画を発表しており、業界全体で雇用環境の再編が進められています。

春闘回答への影響が焦点 雇用安定と賃上げの両立課題に

今回の春闘交渉では、高い賃上げ要求と進行中のリストラという矛盾する状況がどのように調整されるかが最大の焦点となります。労働組合側は物価高に対応した実質賃金の向上を強く求めていますが、経営側はコスト削減と効率化を進める中で、どの程度の賃上げに応じることができるかが問われます。

特に中高年社員を対象としたリストラが拡大している現状では、雇用の安定性と賃上げの両立が難しい課題となっています。電機業界の春闘交渉は、日本の雇用慣行と賃金体系の今後を方向付ける重要な節目となる可能性があります。

3月中旬に予定されている経営側からの回答では、ベースアップ額だけでなく、雇用維持に関する具体的な方針も明らかにされることが期待されています。業界全体の動向が、今後の日本経済の賃金動向に与える影響は小さくありません。

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