大塚製薬31歳男性社員の自死、労災と認定 過重労働と連続勤務が原因に
大塚製薬の男性社員(当時31歳)がうつ病とみられる症状を発症し自死した問題で、遺族が国の労災不認定処分の取り消しを求めた訴訟において、東京地裁(須賀康太郎裁判長)は業務との因果関係を認め、処分を取り消す判決を言い渡しました。判決は4月15日付で、遺族と代理人弁護士が4月22日に会見を行い、詳細を明らかにしました。
過重な業務負荷と長時間労働が認定
訴状によると、男性は2016年11月に大塚製薬の長崎出張所に配属されました。翌年には人員が減少し業務量が増加した後、2018年4月に自死に至っています。直前に会話がかみ合わないなど、うつ病とみられる症状が確認されていました。
判決では、発症前の6カ月間に時間外労働が約86時間にのぼる月があったほか、12日間以上の連続勤務が3回あり、2018年3月には20日間の連続勤務を実施した直後に症状が発症したと認定しています。これらの事実が「時期的に重複ないし近接して」起きていたことを指摘し、総合的な判断から心理的負荷を「強」として、業務が原因であると結論付けました。
事業場外みなし労働時間制の課題
弁護士らによれば、男性は営業職として外回りが多く、実際の労働時間にかかわらず所定労働時間を働いたとみなす「事業場外みなし労働時間制」で勤務していました。労働時間は午前9時から午後5時半と設定されていたものの、会社は実労働時間を正確に把握していなかったとされています。
この制度下では、外勤業務の多さから過重労働が表面化しにくく、適切な管理が行われなかった可能性が指摘されています。判決はこうした労働環境の実態を考慮し、業務と自死との因果関係を認める根拠としました。
遺族の反応と企業の対応
男性の両親は「息子の死の原因が会社での過重労働であると明らかになったと受け止めている」と語り、判決を重く受け止めています。一方、大塚製薬は「当社従業員が亡くなられた事実につきまして重く受け止めております。改めてご本人のご冥福を心よりお祈り申し上げます」とのコメントを発表しました。
この訴訟は、労働時間管理の不備や過重労働がメンタルヘルスに与える影響を浮き彫りにし、企業の責任を問う重要な事例となりました。判決は、長時間労働や連続勤務が従業員の健康に深刻なリスクをもたらすことを改めて示しています。
社会全体で働き方改革が進む中、この事件は労働環境の改善と適切な業務管理の必要性を強く訴えるものとなっています。今後の企業の対応や政策への影響が注目されます。



