茨城中高が「Co-Labo」で文理融合型教育を推進 地域連携で多彩な体験授業を展開
茨城中学校・茨城高等学校(水戸市)は、今年度から土曜日に「Co-Labo」と名付けた希望制の課外講座を実施している。この取り組みは、課題解決能力の育成と、地域や国際社会に貢献できる人材の養成を目的としており、大学や研究機関、自治体、地元企業から講師を招いた講義や、現場見学、活動体験など多様なプログラムを提供している。
県庁職員による講義で公務員の多彩な業務を学ぶ
昨年11月29日には、茨城県庁で働く卒業生を講師に迎えた訪問授業「地元で働く魅力とは?」が開催された。人事委員会事務局の中根和久さんと土木部河川課の柏将徳さんが講師を務め、高校1・2年生11名を前に、県庁業務の実際について語った。
中根さんは「公務員は残業が多いと思われがちですが、実は3~5年ごとの異動により多様な分野を経験できます」と説明。自身も土木、医療、人事など様々な部署を経験し、コロナ禍では入院調整の担当として深夜勤務も行った経験を共有した。柏さんも県内各地の業務を通じて地域理解が深まったと語り、生徒たちは熱心に耳を傾けた。
質疑応答では「異動で仕事に慣れるのが大変では?」との質問に対し、中根さんは「転職したかのような変化があり、飽きることがありません」と笑顔で回答。講座を担当する遠藤純教諭は「生徒たちが県庁の仕事を窓口業務だけと思っていたのが、職業観を広げる良い刺激になった」と評価した。
年間30回超の多彩な講座で実社会と直結した学びを提供
「Co-Labo」は土曜日の放課後に開講され、毎回希望する生徒が申し込む形式だ。今年度は5月のトマト栽培農場見学を皮切りに、7月の座禅体験、8月の水戸地方気象台での職業体験、9月の慶応大学医学部による食育活動、11月の日本原子力研究開発機構・高エネルギー加速器研究機構の講演「未来を拓く加速器 過去を語る古墳」など、25回を超える講座が実施された。
この講座は、約30年前から夏休みに行われてきた「テーマ別課外授業」を発展させたもの。高校入試がない中高一貫校の利点を活かし、対象学年や日数の制限を取り払うことで、生徒の受講機会を大幅に拡大した。遠藤教諭は「当初は月1回を目標にしていましたが、連携先の協力もあり30回近くにまで増えました」と語る。
体験型講座が生徒の満足度を高める
生徒たちから特に好評なのは、実践的な体験型の講座だ。初回のトマト農場見学に参加した高校1年生の高柳祐一朗君は「土を使わない最新農法で栽培されたトマトを試食し、経営戦略についても学べたことが印象的でした」と振り返る。農場では透明フィルムを活用した省水栽培が行われており、高柳君は「農業と起業の両方に興味が湧きました」と話す。
また、衣料品メーカーのユニクロ・ジーユーが国連機関と取り組む「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」では、中学1~3年生の生徒たちが着なくなった子供服の回収活動に参加。6月から保護者への協力依頼や回収ボックスの設置を始め、11月には段ボール18箱分の服を集めて発送まで担当した。中学3年生の茅根叶歩さんは「企画書作成や呼びかけの難しさを実感しましたが、社会貢献の大切さを学べました」と語る。
文理融合の学びで生徒の視野を広げる
「未来を拓く加速器 過去を語る古墳」講座では、加速器技術を使って古墳を調査する文理融合の取り組みが紹介された。高校1年生の平戸理歩さんは「文系科目に偏りがちでしたが、理系の重要性に気付き、勉強への意欲が高まりました」と語る。遠藤教諭も「講座を通じて授業科目の意義を再認識してもらえたことが成果です」と目を細める。
「Co-Labo」はリピーターが多いため、来年度は講座内容の半数近くを入れ替える計画だ。遠藤教諭は「特に地域企業との連携を強化し、地域の担い手育成や地域創生に貢献したい」と意欲を見せる。生徒募集委員会委員長の岸本貴志教諭も「建学の精神『報恩感謝』に基づき、地域に報いるリーダーを育てるだけでなく、日本や世界に貢献する人材を輩出したい」と展望を語った。
茨城中学校・高等学校の「Co-Labo」は、従来の枠を超えた教育実践として、生徒たちに実社会と直結した学びの機会を提供し続けている。



