光英ヴェリタス中高、礼法教育で「思いやりの心」と国際性を育む
千葉県松戸市にある光英ヴェリタス中学校・高等学校は、前身の聖徳大学附属女子中学校・高等学校の時代から、小笠原流礼法の授業をカリキュラムに組み込んできた。2021年度の共学化を機に、教育内容をさらに進化させ、グローバル社会で通用する礼法教育を実践している。週1時間の正課授業を中1から高3までの全学年で実施し、日英併記の副教材を採用するなど、国際化に対応した取り組みが注目を集めている。
英語科との連携で文化発信力を強化
同校では、礼法教育の目的について、大野正文校長補佐が次のように説明する。「本校の建学の精神である『和』を、『独自性を発揮し、協力し合い、共に成長する人間となる』と解釈し、人づくりを基盤とした教育に取り組んでいます。その土台となるのが礼法教育です。人間性を高め、探究的学びで教育の質を向上させることを目指しています」
共学化後は、男子生徒も礼法を学ぶようになり、教育内容のアップデートが図られた。副教材として『外国人とわかりあうために 英語で伝える日本のマナー』(小笠原敬承斎著)を採用し、中学2年では英語科とのクロスカリキュラムを1時間実施している。大野校長補佐は「グローバル化が進む中、生徒たちが海外の人々と交流する機会は増えています。自国文化を理解した上で国際性を身に付け、礼法で育んだ思いやりを国際交流の場で発信してほしい」と期待を語る。
実践的な学びで日常生活に活かす
同校には仏式と神式の和室、礼法講義室があり、小笠原流礼法の実働師範資格を持つ加覧美智子主任教諭らが指導を行う。カリキュラム修了者には、小笠原流礼法宗家から「若紫の傳」(中学生)や「花鬘の傳」(高校生)といった許状が授与される。
高校1年の長谷川茅咲さんは、中学時代の礼法授業で「礼法は日常生活と密接に関わっている」と実感したという。「お箸の使い方や食事マナーを学び、暮らしの中でどう役立てられるか考えながら授業を受けました」と振り返る。中学3年時のオーストラリア修学旅行では、折り鶴をファームステイ先の家族にプレゼント。日英併記教材を参考に英語で日本文化を説明し、礼法で学んだ手土産の渡し方も実践した。
中学3年の宮川雄羽君は、入学後すぐに学校全体に礼儀作法が浸透していることに気付いた。「先生も生徒も礼儀正しく、お手本として見習いたいと思います」と話す。玄関の作法を学んだ後、友達の家で靴をきれいにそろえたところ、友達の母親に褒められた経験も。「所作には一つ一つ意味があり、覚えておくと将来必ず役立ちます。修学旅行での国際交流が楽しみです」と笑顔を見せる。
卒業後も役立つ礼法の知識と心
同校では、高校3年生の約3割が上級試験に合格し「花鬘の正傳」を取得するなど、高い学習意欲が見られる。大野校長補佐は「卒業生の多くが、日常生活で礼法を使う機会の多さを実感し、学んでよかったと話します」と語る。
卒業生でもある加覧教諭は、礼法の実用性を強調する。「面接実習は受験や就職に役立ち、冠婚葬祭のマナーは社会人に必須です。美しい立ち居振る舞いは子育てにも良い影響を与えます」と指摘する。
同校の礼法教育には、建学の精神「和」と通じる「思いやりの心」が込められている。加覧教諭は「形だけでなく心を育て、生徒たちが人生で礼法を活かせるよう支援したい。英語で伝える視点が加わることで、日本文化への理解も深まります」と期待を込めた。新カリキュラムの下、国際的な場面で礼法を活用する機会はさらに増えていきそうだ。



