高校無償化拡大で私立志願に地域差 大阪・東京で増加も埼玉では減少傾向
2026年2月20日、高校授業料の「無償化」制度が拡大される中、全国各地で高校入試が実施されている。主に私立高校生を対象とした支援が広がる予定だが、志願状況への影響は地域によって大きく異なっている。一部の地域では私立高校への志願者が増加している一方、他の地域では明確な変化が見られない状況だ。
大阪府では私立高校志望者が増加傾向
大阪府では、私立高校を希望する中学生が増えている。府公立中学校長会が実施した進路希望調査によると、府内の私立高校を第1志望とする生徒の割合は、2026年度入試において29.74%に達した。これは2年前の25.97%から約4ポイント上昇している。
大阪府は独自に、所得制限のない保護者負担ゼロの「無償化」制度を2024年度から段階的に導入してきた。2026年度には1年生から3年生までの全学年が対象となり、制度が完成する見込みだ。私立高校の人気が高まる半面、公立高校を希望する生徒は減少傾向にある。府教育委員会の担当者は「無償化制度の影響があるのではないか」と指摘している。
東京都でも私立志向が強まる
東京都も2024年度に、私立高校生を含む独自の「無償化」制度を導入し、所得制限を撤廃して対象を大幅に拡大した。1月に公表された都中学校長会などの志望調査によると、都内の公立中学校3年生のうち、都立高校を志望する生徒の割合は65.79%だった。これは約30年ぶりに70%を割り込んだ前年度をさらに下回り、過去最低の水準となっている。
授業料の「無償化」は、大阪府や東京都が独自に先行して実施し、国が後追いする形で進められている。しかし、他の地域でも同様の傾向が見られるわけではない。
埼玉県では私立高校の応募者数が減少
埼玉県では、1月中旬に私立高校入試の応募状況をまとめた。全日制47校の応募者数は5万8700人で、前年度より1千人余り減少していた。同じ首都圏に位置する神奈川県の状況はまだ明らかになっていないが、地域によって志願動向に大きな差が生じていることが浮き彫りになっている。
専門家の見解と今後の課題
日本大学教授で教育行政学が専門の末冨芳氏は、高校の所得制限のない無償化が実施されたからといって、全ての私立高校の受験生が増えるわけではないと指摘する。東京や大阪であっても、募集に苦労する私立高校が存在する現実がある。さらに、私立高校無償化は暫定予算にならない可能性もあり、一時的に保護者が授業料を納付するケースが生じる懸念もある。
教育関係者は、無償化制度の拡大が地域の教育格差を広げる可能性を危惧している。特に、地方では私立高校の選択肢が限られるため、制度の恩恵が均等に行き渡らない課題が指摘されている。今後の政策展開において、地域ごとの事情を考慮した対応が求められるだろう。



