英語筆記体、なぜ学校で習わなくなった? 米国では復活の動き広がる「手書き」の効用
英語筆記体、なぜ習わなくなった? 米国で復活の動き

英語の筆記体、なぜ学校で習わなくなったのか?

「今の子どもたちは、学校で英語の筆記体を習わないと知り、驚いた」――60代女性からのこんな疑問が寄せられた。実際、日本の教育現場では、かつて必修だった英語の筆記体が、今ではほとんど教えられていない状況が広がっている。その背景には、パソコンの普及や授業時間の減少など、時代の変化が深く関わっている。

パソコン普及で「付録扱い」に

英語の筆記体は、約40年にわたって日本の学校で必修とされてきた。しかし、1998年の中学校学習指導要領の改定(2002年施行)を機に、その状況は一変した。文部科学省外国語教育推進室の担当者は、改定の背景について「パソコンの普及により、筆記体が必要な場面が減少した」と説明する。

さらに、同じ改定で学校完全週5日制への移行が決定され、土曜日が休みとなったことで、授業時間が年間70時間も削減された。このため、授業内容が「厳選」され、筆記体は優先順位の低い項目として扱われるようになった。

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40代半ばの中学英語教諭は、現在の状況をこう語る。「教科書では筆記体は付録扱いです。授業時間が余った場合に、『筆記体でグリーティングカードを書こう』と紹介する程度で、本格的に教える機会はほとんどありません」。

米国でも同様の動き、しかし近年は復活の兆し

実は、この傾向は日本だけではない。米国でも、筆記指導を研究する専門家団体「ザ・ハンドライティング・コラボレーティブ」によると、2010年に発表された全米共通の学習達成基準で、筆記体が必修から外れた。パソコンのキーボード操作を優先して学ぶ方針が背景にあった。

東京・新橋で旅行中だった米コロラド州の女性(45)に話を聞くと、「私が子どものころは8~9歳で筆記体を学びましたが、今の子は習いません。タイピングが中心ですから」と語る。中学生の息子(14)と娘(12)も「ブロック体しか使わない。筆記体は習っていないので書けないし、読むのもとても苦手」と冷めた口調だった。

しかし、同団体の調査では、近年、筆記体指導を復活させる州が急増しており、半数近くが再び義務化している。2024年にはカリフォルニア州もこの流れに加わった。一方、英国では6~8歳で筆記体を学ぶことが一般的で、全英手書き協会のメリッサ・プルンティ会長は「手書きの速度は、文章の質やアイデアの展開に深く関わります」と述べ、手書き教育の重要性を強調する。

教育現場の現実と将来への展望

前出の英語教諭は、生徒たちの反応について「筆記体に『かっこいい』と興味を持つ子はいます。長い目で見れば、使える方が良いのかもしれません」と語る。しかし、現実には「年々、学習内容も単語数も増え、筆記体はそぎ落とされるのが実情です」と寂しそうに付け加えた。

教科書も改定のたびに筆記体についての記載が減り、教育現場ではブロック体中心の指導が定着している。この変化は、単語の覚え方や英語学習のアプローチにも影響を与えている。

国際的に見ると、手書き教育の見直しが進む中、日本の教育現場でも、筆記体の役割を再評価する動きが今後広がる可能性がある。パソコンやデジタル技術が発展する一方で、手書きの持つ認知的な効用や文化的な価値が、改めて注目されている。

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