廃校キーホルダーに卒業生涙 足立区の町のホームページ屋さんが開発
廃校キーホルダーに卒業生涙 足立区の町のホームページ屋さんが開発

あなたの通っていた小学校は、今も存在していますか。少子化の進行に伴い、全国各地で小中学校の統合や廃校が相次いでいます。ファミリー層に人気で人口増加が続く東京都足立区も例外ではなく、多くの学校がその歴史に幕を下ろしました。

そんな母校への思い出を形にしようと、区内のウェブマーケティング会社が、現在は存在しない学校名を刻んだキーホルダーを開発・販売しています。このキーホルダーは卒業生を中心に大きな反響を呼び、区内の大型雑貨店でも取り扱われるようになりました。購入者からは「よくぞ作ってくれた」との声が寄せられています。

校舎も校庭も何も残っていない学校も

キーホルダーを作ったのは、足立区千住3丁目に拠点を置く「オプティ」という会社です。「町のホームページ屋さん」の看板を掲げる店舗で販売されています。代表の渡辺浩司さん(49)は、製作のきっかけについて「友人が通っていた小学校が廃校になったと聞き、衝撃を受けました」と振り返ります。

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渡辺さんが調査したところ、足立区内で統合や廃校により校名が消えた小中学校は31校に上りました。その中には、校舎や校庭などが完全に取り壊され、何も残っていない学校もありました。「何か思い出の品になるものがあってもいいのではないか」と考え、キーホルダーの製作を思いついたのです。

温かみを出すため、手押しの印刷機を購入し、木片の表面に学校の通称、裏面に正式名称を手作業でプリントしています。手作りならではのインクのにじみや木目の違いにより、同じ校名でも一つひとつ微妙に異なる仕上がりとなっています。

「よくぞ作ってくれました」

約1年前に販売を開始した当初は、ほとんど売れませんでした。しかし、渡辺さんは「買った人はすごく喜んでくれました。身の上話をするお客様も多く、会話が生まれ、涙ぐむ方もいました」と手応えを感じました。徐々に口コミで広がり、売り上げは伸びていきました。現在では月に数十個が売れ、品切れになる学校も出るほどの人気です。

4月28日に購入のために訪れた埼玉県草加市の田代恵子さん(72)は、中学校を卒業するまで足立区で暮らし、通っていた小学校はもうありません。以前、北千住に来た際、店頭のディスプレーで母校の校名が入ったキーホルダーを見つけました。田代さんは「夫も同じ小学校の卒業生です。話をしたら『ぜひ買ってほしい』と言われ、改めて来店しました。よくぞ作ってくれました」と話し、キーホルダーを見比べてお気に入りの一つを選びました。

「地域貢献はこういうことかな」

人気の高まりを受け、このほど北千住マルイ内の「ハンズ北千住店」でも取り扱いが始まりました。「五反野小」「千一小」「鹿浜小」など、ずらりと並ぶキーホルダーが来店者の目を引いています。

需要に応えるため、渡辺さんは区内の就労継続支援B型事業所「LiNE PARK」(ラインパーク)に製作を依頼しました。手押し印刷機を持ち込み、一般企業で働くことが難しい人たちが手作業で一つひとつ丁寧に作っています。

渡辺さんは「こうした品物で区民の気分が上がれば、きっと景気も上向くと思います。自分たちにできる地域貢献とは、こういうことなのかなと感じています」と話しています。

キーホルダーの価格は780円(税込み)。「町のホームページ屋さん」は土日祝日が定休日です。

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