練馬区の中学校教諭が多彩な講師招き出前授業、生き方の選択肢を広げる取り組み
練馬区の中学校教諭が多彩な講師招き出前授業

東京都練馬区立北町中学校の穐田剛主任教諭(55)は、中学生に多様な生き方を伝えるため、多彩な講師を招いた出前授業を15年以上続けている。いい大学に入り、安定した会社に就職するというプレッシャーに直面する生徒たちに、人生の選択肢が多様であることを示したいという思いからだ。

出前授業の始まりと広がり

穐田教諭は、赴任先の中学校で、本や講演で「面白い」と感じた人々に手紙を書き、講師を開拓してきた。10通の依頼に対して1人が来てくれるかどうかという状況だったが、著名人の中には「手弁当でも行きますよ」と言う人もいたという。

東京都文京区の中学校に勤務していた2013年度前後には、3年間で50人以上の講師を招いた。足立区や大田区の中学校に転勤した後も、図書委員会の活動時間などを活用しながら継続。現在の練馬区立北町中学校でも、新たな講師の開拓を続けている。

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書籍での発信

穐田教諭は、出前授業の内容をまとめた書籍も2冊出版している。「ミライを生きる 君たちへの特別授業」(2021年)と「セカイに漕ぎ出す君たちへの特別授業」(2025年)で、いずれも岩波書店から刊行された。

これらの本には、生徒たちの価値観を揺さぶる話が収められている。例えば、フリーランスライターのいしかわゆき氏は、「苦手を克服しなくても、得意なことだけを磨き続けて仕事にする道がある」と語り、自身の体験として、朝起きるのが苦手でも出社時間が柔軟な会社に転職した例を紹介している。

多様な生き方に触れる意義

穐田教諭は、勉強が嫌いだった教え子が工業高校に進学し、資格を取得して報告に来た経験を挙げる。専門学科の高校では就職を考えやすく、教員の面倒見が良い印象があるといい、「進学後、見違えるようになった子がたくさんいた」と語る。

現代は交流サイト(SNS)が普及し、個人の欲求に合わせたおすすめ動画などで刺激を受け続ける時代だ。成功者の映像は華やかで、地味な下積み生活は見えにくい。しかし、大人も完璧ではなく、悩み、失敗するものだ。穐田教諭は、若い時期にさまざまな人生に触れることで、壁にぶつかったときに「こんな人もいたな」と、少し頑張って生きてみようと思えるようになってほしいと願っている。

出前授業は、作家、学者、俳優などが中学生に語りかける形で行われ、多様な考え方を伝える場となっている。穐田教諭は今後も、新たな講師を開拓しながら、この取り組みを続けていく考えだ。

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