筑波技術大学が東京デフリンピックメダリスト6人に名誉卒業生称号を授与
視覚・聴覚障害のある学生のための筑波技術大学(茨城県つくば市)において、学位記授与式(卒業式)が3月19日に学内で開催されました。この式典では、昨年11月に開催された東京デフリンピックで活躍したメダリスト6人に対して、名誉卒業生の称号が授与される特別なセレモニーも同時に行われました。卒業・修了生として学部生68人と大学院生9人、合わせて77人が新たな門出を迎え、それぞれの未来に向けて決意を新たにしました。
卒業生一人ひとりが学位記を受け取り、新たな一歩を誓う
卒業式では、石原保志学長から卒業・修了生全員が一人ずつ学位記を受け取りました。代表謝辞を述べたのは、視覚障害のある岩波和希さん(22歳)です。岩波さんは「就職して今までとは異なる環境で新たな一歩を踏み出します。大学で学んだ知識や経験を人生に生かし、自らの道を切り開いていきます」と力強く誓いの言葉を述べました。この言葉は、多くの卒業生の思いを代弁するものでした。
石原学長は式辞の中で、「大学で得たものは知識や技術だけではありません。ここで築いた仲間との絆は、一生の財産となるでしょう。今後、困難に直面したときには、悩みを共有し合って乗り越えてください。皆さんの活躍が社会に認識され、誰もが活躍できる多様性に富んだ社会の実現につながることを心から願っています」と激励のメッセージを送りました。
デフリンピック選手からのエールと後輩の決意
筑波技術大学のサークルを母体とする代表チームで、東京デフリンピックに初出場し初勝利を収めたハンドボールの小林優太主将(24歳)が、OBとして式典に参加しました。小林主将は「どんな壁に直面しても、一人だけで乗り越える必要はありません。大学で培った友情や絆を生かし、自分の人生の道を彩っていってください」と後輩たちに温かいエールを送りました。
後輩として卒業した林遼哉選手(22歳)は、「聴者の世界に入ることへの不安は大きいですが、先輩たちからの貴重な助言を得て、これからも頑張りたいと思います」と意気込みを語りました。この言葉は、障害のある学生が社会に出る際の期待と不安を率直に表しています。
名誉卒業生称号の授与と学長賞の贈呈
大学に大きく貢献したOB・OGに贈られる名誉卒業生の称号授与は、2024年のパラリンピック選手に続いて3回目となります。今回、東京デフリンピックのメダリスト6人がこの栄誉に浴しました。具体的には、テコンドー女子プムセ(型)で銅メダルを獲得し、19日に卒業した星野萌選手(22歳)には、学長賞も贈られました。
バドミントン混合団体で金メダルを獲得した沼倉昌明選手(40歳)と千紘選手(35歳)の夫妻は、名誉卒業生称号と学長賞の両方を受賞しました。昌明選手は大学院を修了し、「デフスポーツを通じて、障害への理解や社会の多様性・公平性・包括性の推進、そして筑波技術大学の素晴らしさを広く伝えていきたいと思います」と抱負を語りました。
名誉卒業生に選ばれた各選手の功績
名誉卒業生として称号を授与された選手は以下の6人です。それぞれが東京デフリンピックで輝かしい成績を収め、障害者スポーツの発展に大きく貢献しました。
- 岩渕亜依選手(サッカー)
- 杉本大地選手(サッカー)
- 蒲生和麻選手(柔道)
- 沼倉昌明選手(バドミントン)
- 沼倉千紘選手(バドミントン)
- 橋本樹里選手(バスケットボール)
これらの選手たちは、競技での卓越したパフォーマンスだけでなく、社会における障害者への理解促進にも尽力してきました。筑波技術大学は、彼らの功績を称え、今後のさらなる活躍を期待しています。
今回の学位記授与式と名誉卒業生称号授与式は、障害のある学生の教育と社会参加を支援する筑波技術大学の取り組みを象徴するイベントとなりました。卒業生たちは、大学で得た知識や絆を礎に、それぞれの分野で活躍し、多様性が尊重される社会の実現に貢献していくことを誓いました。茨城県つくば市から巣立った77人の新たな旅立ちは、障害者教育の重要性を改めて社会に訴える機会となったのです。



