17歳の「3Dプリンター伝道師」が学会で快挙 聖学院高校・永井健太さんの熱意
東京都北区の聖学院高校2年に在籍する永井健太さん(17)は、3Dプリンターを使ったものづくりの魅力に深く魅了され、自らを「伝道師」と称して活動を続けています。昨年10月には、関係学会で自身の取り組みを発表し、表彰されるという快挙を成し遂げました。若き才能がどのようにして技術を磨き、成果を上げているのか、その熱意に迫ります。
デジタルファブリケーションラボで芽生えた情熱
聖学院中学・高校は、情報プログラミング教育を強化するため、2021年に3Dプリンターを備えた「デジタルファブリケーションラボ(ファブラボ)」を新設しました。その年に入学した永井さんは、この施設にすぐに夢中になりました。「頭の中で思い描いたものが、パソコンと3Dプリンターを使えば実際に作れるなんて」と語る彼は、ファブラボで次々と作品を制作。公衆電話機の模型やコードリール、さらには「沼」の文字を表現した作品など、樹脂でできた多彩な模型を生み出しています。
例えば、約15センチ四方の公衆電話機は、学校のプリンターで9時間かけて印刷されました。「下校時に印刷を始め、翌日登校したら完成していた。見ていなくても設計通りにできたのが感動的でした」と永井さんは説明します。このように、3Dプリンターの可能性に触れることで、彼の情熱はさらに高まっていきました。
技術を磨き、コンテストで受賞
永井さんは、仲間とともに有志団体「@clubファブラボ」を結成し、技術を教え合う活動を開始。さらに、中学3年時には日本財団の「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」に応募し、採択されました。そこで制作した「ウミガメの卵」は、フルカラー3Dプリンターを使用し、半透明の卵の中に子ガメの目まで細かく描かれた精巧な作品です。
高校1年時には、USBケーブルコードを収納するリールに挑戦。直径約6センチ、高さ約4センチの実用的で美しい作品を完成させ、2024年に日本図学会主催の第1回「全国高校生デジタルモデリングコンテスト」に応募。審査委員長賞を受賞する栄誉に浴しました。この成果は、彼の技術力と創造性が高く評価された証と言えるでしょう。
学会で高校生初の発表者に
聖学院高校では、探究・対外発表活動の一環として3Dプリンターを活用したワークショップを開催しており、永井さんはその主力メンバーの一人として活躍。小中学生や高校生を対象に、カプセルトイや名札の作成などを教えています。
グローバルイノベーションクラスに所属する永井さんは、ゼミ形式の授業を受け、指導教諭の山本周さん(30)からの勧めもあり、昨年10月に京都市内で開催された学会「4DFF2025」に参加。この学会では、高校生として初めて発表者となり、3Dプリンターのワークショップや日本のものづくりへの思いを語り、大会実行委員長賞を受賞しました。これは、若い世代が専門的な場で認められた稀有な事例です。
失敗を糧にする前向きな姿勢
取材当日、永井さんは仲間がセットした3Dプリンターの印刷を見守っていましたが、途中で設計通りに形成されず、樹脂が溶けたまま固まるトラブルが発生。しかし、彼は「よくあることです。温度や湿度の変化に影響を受けやすい。試行錯誤しながら作り上げていくのがおもしろい」と淡々と対応し、やり直していました。
この姿勢は、ものづくりにおける失敗を恐れず、学びの機会として捉える前向きな考え方を示しています。永井さんは、3Dプリンターの技術を通じて、創造性と忍耐力の重要性を体現しているのです。
聖学院高校のデジタルファブリケーションラボを拠点に、永井健太さんは今後も3Dプリンターの魅力を広める「伝道師」として、さらなる活躍が期待されます。若者の情熱が、ものづくりの未来を切り開く一翼を担う日も近いかもしれません。



