三重刑務所の食事、1日592円22銭の制約の中で管理栄養士が語る更生への思い
刑務所食事1日592円、管理栄養士が語る更生への役割 (22.03.2026)

三重刑務所の食事、1日592円22銭の制約の中で管理栄養士が語る更生への思い

592円22銭。これは現在、刑務所で1日分の食事に充てられる費用である。物価高騰が著しい現代において、三重刑務所(津市)の管理栄養士は、調理を担当する受刑者が作りやすく、かつ日々の楽しみにもなるようなレシピを絶えず考え続けている。1日およそ1800食を提供する大規模な給食施設。その全ての取り組みは、受刑者の更生を支えるためにある。

月1回のぜんざいとオリジナルメニュー

主に初犯の受刑者が収容される三重刑務所では、約600人が生活している。献立は管理栄養士が作成するが、実際の調理は炊事工場に所属する受刑者が行う。6日の昼食には、「月に1度の恒例」としてぜんざいが丼で提供された。

「これだけ見ると糖質に偏っているように思えますが、食べるもの全体で栄養バランスを意識しています。楽しみも大切ですから、メリハリをつけています」と、女性管理栄養士は笑顔で説明する。

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同刑務所では、ぜんざいにマーガリンを添えることが慣例となっている。「小倉マーガリンのようにして食べる人が多いから、続いているようです」と理由を明かす。また、「ジャーマンポテト」は同所のオリジナルメニューで、水で戻す乾燥ジャガイモにベーコンやコーンを混ぜ込む。「平等に配分できるようになっています。これも刑務所ならではの工夫ですね」と語る。

物価高騰への対応と調理の工夫

法務省の担当者によると、全国の刑務所では20歳以上の受刑者1人あたりの食費をほぼ毎年見直しており、2025年度は前年度の543円21銭から49円01銭増となった。消費者物価指数や米・麦の市場価格を参考に予算要求額を検討するが、実勢の上昇率よりは小幅な増額になるのが現実だという。

三重刑務所では、肉が値上がりした際には豆腐ステーキや大豆肉で代用。豚のしょうが焼きと同じ調味料で鶏肉を焼き、「チキンジンジャー」と命名して新メニューとして導入するなど、創意工夫を凝らす。時折のデザートも欠かさず、所定のカロリーを負担なく摂取できるよう、食べ飽きない工夫を続けている。

一方で、「工程が複雑になると、全く別のものができあがってしまうこともあります」と課題も口にする。調味料を「1袋の3分の2使う」などとすると分量を間違えやすくなるため、「使い切りを意識して、失敗も無駄も減らしたい」と、食材を購入する段階から完成形を想定している。

食事が更生に果たす役割

管理栄養士は、「野菜が煮崩れしないように、鍋の中で動かしすぎないといった細かな工夫も、考えて動くことを養えます。炊事工場の受刑者は、人のために作る責任と喜びを感じられるはずです」と期待を込める。

「受刑者も人間です。食べることは命を維持するだけではなく、一つの楽しみとしても重要です」。柔らかなまなざしで、食事が更生にもたらす役割を語った。限られた予算の中で、栄養バランスと心の豊かさを両立させる取り組みは、受刑者の社会復帰を支える礎となっている。

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