卒業式で贈られる言葉の重み PTA会長が込める思い
「入学した時に線は、丸はきれいに描けましたか」。これは、小学校の卒業式でPTA会長として挨拶した父の言葉である。当時、記者は「もっとかっこいいことを言ってほしい」と恥ずかしさを感じたという。しかし、時が経つにつれ、この素朴な問いかけが深い意味を持っていたことに気付かされる。
子どもたちへのメッセージを紡ぎ続ける男性
三重県尾鷲市で中学校のPTA会長を務める男性は、「子どもたちに贈る言葉は徹底的に考える」と力を込めて語る。彼は幼稚園や小学校の式典でも挨拶に立ち、「誰かの生きるヒントにつながれば」という願いを込めて、年代に合わせたメッセージを紡いできた。3月の卒業式も例外ではなく、彼は心を込めて言葉を選んだ。
男性はこう述べる。「その人だから生まれた言葉は、きっと誰かに引っかかるはずです」。しかし、彼には一つ気がかりなことがある。それは、「娘と息子には伝わったのかなあ」という思いだ。親としての率直な感情がにじみ出る。
15年前の言葉が今も心に響く
だが、その言葉は確実に伝わっている。少なくとも、記者は15年前の父のはなむけの言葉を忘れていない。「今は線はまっすぐに、丸もきれいに描けていることでしょう」。この一言が、成長の過程で何度も思い出され、支えとなってきた。
記者は自らを振り返り、「自分の線と丸は、まだ少し曲がっているけれど」とつぶやく。完璧ではないが、父の言葉が道標となり、前進する勇気を与えてくれた。卒業式という節目で交わされる言葉は、単なる儀礼ではなく、人生の糧となることがある。
このエピソードは、PTA活動を通じて地域と関わる人々の熱意や、親子の絆の深さを浮き彫りにする。言葉の力が、時を超えて心に残り、新たな意味を見いだす様子が鮮やかに描かれている。



