東京女子医科大学が元理事長らに約10億円の損害賠償を請求 不正入試問題で私学助成金不交付などの被害
東京女子医科大学(東京都新宿区)は4月21日、不公正な推薦入試への加担により大学に重大な損害を与えたとして、元理事長の岩本絹子被告(79歳)ら5人に対し、計約10億円の損害賠償を求める訴えを4月16日付で東京地方裁判所に提起したことを正式に発表しました。この訴訟は、大学の第三者委員会が2024年8月に公表した調査報告書で明らかになった不正入試問題を背景としており、同窓会組織が受験生の親族から寄付を受けていた実態が指摘されています。
第三者委員会の調査で浮き彫りになった不正の実態
大学が設置した第三者委員会の調査報告書によれば、一部の推薦入試において、同窓会組織が特定の受験生の親族から多額の寄付を受け取っていたことが判明しました。この不正行為は、入試の公平性を著しく損なうものであり、大学の社会的信用を大きく揺るがす事態となりました。報告書では、このような行為が長年にわたり継続していた可能性も示唆されており、組織的な問題として深刻に受け止められています。
大学が被った具体的な損害と訴訟の内容
東京女子医科大学は、岩本被告らが職務を忠実に行う義務を怠った結果、以下のような多額の損害を被ったと主張しています。
- 2024年度および2025年度の私学助成金が全額不交付となったこと
- 大学の評判低下による学生募集への悪影響
- 不正問題への対応に要した調査費用や人件費
これらの損害を総合的に評価し、計約10億円の賠償を求める訴訟に踏み切りました。大学側は、教育機関としての健全性を回復し、再発防止を徹底するためにも、法的措置が必要であると判断したと説明しています。
元理事長の岩本被告は背任罪で起訴 新校舎建設工事でも問題
岩本絹子被告は、今回の不正入試問題とは別に、新校舎建設工事などを巡る報酬支払いにおいても大学に損害を与えたとして、背任罪で既に起訴されています。このことから、被告が複数の案件で大学運営に不適切な関与を行っていた可能性が浮上しており、訴訟の対象となった他の4人についても、同様の職務怠慢が指摘されています。大学関係者によれば、これらの問題は相互に連関しており、組織全体のガバナンス欠如が背景にあると見られています。
今後の展開と大学の再建への道のり
東京女子医科大学は、訴訟を通じて損害の回復を図るとともに、内部統制の強化に全力を注ぐ方針です。具体的な再建策として、以下の取り組みを進めています。
- 入試制度の全面的な見直しと透明性の向上
- 第三者委員会の提言に基づくガバナンス改革の実施
- 学生や保護者への説明責任の徹底
この問題は、私立大学における経営の在り方や社会的責任について、改めて議論を呼ぶことになりそうです。大学側は、早期の解決と信頼回復を目指し、今後も情報開示を継続していく構えです。



