リニア新幹線静岡工区の着工に大きく前進 生態系影響の全28項目議論が完了
リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事を巡り、静岡県とJR東海が生態系への影響に関する分野の対話を完了した。これにより、着工前に解決が必要とされた全28項目の議論がすべて終了し、静岡工区の着工に向けた大きな障害が取り除かれた。
年内着工の可能性も 平木副知事が示唆
静岡県の専門部会が26日に県庁で開催され、平木省副知事は部会後の記者会見で、静岡工区の着工について「年内もあり得る」と述べた。品川ー名古屋間で唯一工事が手付かずとなっている静岡工区の着工実現に向け、重要な一歩を踏み出した形だ。
鈴木知事の二つの条件を満たす
鈴木康友知事は着工を認める前提条件として、全28項目での対話完了と、大井川の水資源に影響があった際の補償確認書の締結を掲げていた。補償確認書は今年1月に締結済みで、今回の対話完了により両条件が満たされたことになる。
鈴木知事は対話完了を受け、「大きな節目を迎え意義深い」とコメント。JR東海静岡工事事務所の永長隆昭所長は「地域の皆さまに取り組みを理解してもらい、一日も早く着工できるよう努めたい」と述べた。
専門部会で生態系8項目を了承
専門部会は水資源、トンネル発生土、生物多様性の3分野で全28項目を議論してきた。水資源分野は昨年6月、トンネル発生土分野は今月19日に議論を終えており、26日は残る生態系に関する8項目を審議。
具体的には、工事で損なわれる南アルプスの自然環境を同等以上に回復する取り組みや、突発的な事態でのリスク管理などが了承された。これにより、長年懸案となっていた環境影響評価の主要課題が解決に向かった。
開業は2036年以降に 着工遅れの影響
静岡工区の着工を巡っては、川勝平太前知事が水資源への影響を理由に2017年に着工反対の姿勢を示し、一時膠着状態が続いた。鈴木知事に代わって以降は協議が加速していたが、着工の遅れは避けられなかった。
JR東海は静岡工区の着工遅れを受け、当初目標としていた2027年開業を断念。専門家によれば、今すぐ着工したとしても開業は2036年以降になるとみられる。
今後の手続きと着工判断
今後はJR東海による大井川流域市町の住民や関係者への説明、河川法などに基づく手続きを経て、鈴木知事が正式な着工を認めるか判断することになる。専門部会の岸本年郎部会長は「着工に向けた環境整備が整った」と評価している。
リニア中央新幹線は東京・品川から名古屋を経て大阪までを結ぶ超電導リニア方式の高速鉄道で、最高時速500キロでの運転を目指している。静岡工区の着工実現は、この国家的プロジェクトの進捗に大きな影響を与えることになる。



